2017 Fiscal Year Annual Research Report
高化学選択的ラジカルカップリングの開発と複雑トリテルペン類の全合成
Project/Area Number |
16H06213
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
占部 大介 富山県立大学, 工学部, 教授 (80503515)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 天然物化学 / 全合成 / トリテルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
中分子天然物は、低分子・高分子医薬の優位点を併せ持つ次世代型ポストバイオ医薬として注目されている。しかし、その化学構造の複雑さのため、中分子天然物を医薬品リード化合物として利用する事は著しく困難である。この問題の解決に向け、本研究では高化学選択的ラジカル反応を鍵とした中分子天然物の実用的全合成経路の確立を計画した。平成29年度は、抗がん作用を有するナキテルピオシンの合成研究を行った。 ナキテルピオシンはステロイドが転位した骨格を持つ天然物である。複雑に縮環した3環性炭素環と、ジクロロメチル基とメチル化されたラクトンを含む鎖状側鎖が特徴的である。ナキテルピオシンの合成研究として、まずモデル化合物を設定しその合成法の確立を検討した。具体的には、ナキテルピオシンの鎖状側鎖の合成法の確立を目指した。オキサゾリジノンを不斉補助基としたプロピオン酸のアリル化と続くヨードラクトン化、およびSN2反応を経たヒドロキシ化により、モデル化合物のラクトン部位を合成した。この合成法は短工程でメチル化されたラクトンを与えたが再現性に大きな問題があった。そこで、異なる合成法を検討した。(R)-(-)-5-Oxo-2-tetrahydrofurancarboxylic acidをボラン還元した後、生じたヒドロキシ基をTBS基で保護した。次いで、ラクトンのエノール化とヨードメタンを用いたメチルを行った。この合成法により、先の検討で合成した中間体を再現性よく合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は今年度4月より、所属が代わり、新しく研究室を立ち上げた。4月から9月は新しい学生は配属されず、10月から研究室の一期生として3年生が配属された。3年生に対しては一から研究指導と教育を行っている。実験計画そのものに大きな問題はないが、全く新しい研究環境で研究を遂行する事で、研究の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
若手研究Aの3年目にあたる平成30年度は、主にナキテルピオシンのモデル研究の続きと、全合成研究を遂行する。また同時に、神経毒として知られているベラトリジンの全合成研究も開始する。新しく研究室を立ち上げたことで進捗が少し遅れているが、同時に異なる研究テーマを遂行することで、進捗の遅れを取り戻すよう努める。
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