2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06242
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
槇野 陽介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (50725017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 死後MRI / 死後CT / 法医学 / 死因究明 / 法医画像診断学 / 死亡時画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて、法医解剖前の遺体を解析し、死後CT所見及び、解剖結果と照らし合わせ、死後MRI検査の死因究明における意義を確立することを目的として実施した。具体的には、法医学教室において、法医解剖前に死後CT検査、死後MRI検査をそれぞれ実施し、その検査結果を解剖所見と比較・検討した。 検査は41症例の法医解剖事例において実施した。頭部では、脳病変が死因に関与した14例のうち、6例(43%)で死後MRIの病変検出が、死後CTに比して優位であった。中には死後MRIが、中毒や栄養障害という法医学的に重大な所見を発見する契機となった事例があった。頸部では、解剖で肉眼的頸髄損傷が指摘された事例が2例あり、いずれの事例でも死後MRIにて、死後CTでは描出されない頸髄損傷が明瞭に示された。胸部領域では、脂肪塞栓が3例で認められ、うち2例で肺動脈内の脂肪を示唆する信号がMRIで指摘できた。脂肪塞栓の検出は、解剖でも困難であり、死後MRIの新たな有用性を示した世界で初めての発見として報告を行った。死後CTでは指摘し難いことが知られる大動脈損傷については2例で認められ、2例とも死後MRIで大動脈の不連続性が指摘可能であり、うち1例では死後CTでは指摘できない損傷であった。死因が虚血性心疾患と判定された4例のうち、肉眼的に心筋病変が明らかであった1例では明瞭にMRIで心筋病変が示された。残り3例では肉眼所見でもMRI所見でも不明瞭であった。今後詳細な心筋組織所見と、T1 mappingなどの定量的計測を比較検討しする予定である。 本研究においては、頸髄損傷等の、死因究明における重大所見かつ死後CTで指摘し難い所見が死後MRIで検索できることが示された。死後MRIは今後、死因究明に欠かせないモダリティとなると予測され、更なる研究が望ましいと考えられた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)