2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gas6/AxlシグナルによるRSV感染に伴う免疫応答の制御機構の解明
Project/Area Number |
16H06246
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (00739196)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RSV / アレルギー / Axl / Gas6 |
Outline of Annual Research Achievements |
RSVはTh2免疫応答を誘導することが知られている。特にRSVのコンポーネントタンパク質のひとつであるGタンパク質がTh2免疫応答を誘導するとされてきた。一方これまでの本研究は、RSV感染やFI-RSV接種によりマウス肺においてGas6が産生されることが明らかにした。すなわち、RSVのGタンパク質がGas6を誘導することが予想された。結果、RSVのGタンパク質をマウスに免疫し、RSVを感染させると、FI-RSVと同様接種後のRSV感染に伴いアレルギー性気道炎症がみられ、同時に肺におけるGas6産生が有意に増加した。さらにin vitroの実験において、樹状細胞をGタンパク質で刺激するとGas6が産生された。以上の結果より、RSVのGタンパク質が樹状細胞のGas6産生を誘導し、RSV感染に伴いTh2免疫応答であるアレルギー性気道炎症をひき起こすことが示唆された。次に、Gas6標的細胞の同定を試みた。我々は以下の理由から2型自然リンパ球 (ILC2) に注目した。1)RSV感染に伴いTh2サイトカイン(特にIL-5とIL-13)が産生される。2)RSVを感染させたマウスに抗Axl抗体を投与すると、上記Th2サイトカインの産生が抑制される。3)ILC2はAxlを発現する。マウスより単離したILC2にリコンビナントGas6を添加したところ、予想に反し、Th2サイトカインは産生されなかった。むしろ、IL-33刺激によりILC2から産生されるTh2サイトカインは、Gas6処理により抑制された。in vivoモデルおいて抗Axl抗体投与はIFN-g産生を強く誘導することより、間接的にGas6はILC2のTh2サイトカイン産生を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RSVのGタンパク質からのシグナルによりGas6が産生されることを明らかにし、RSV感染による一部のアレルギー誘導機構が示された。しかし、Gタンパク質からGas6が産生されるまでの機構は不明のままである。また、アレルギー性気道炎症の発症にILC2が関与することを示唆した。ただし、それは間接的な関与であり、詳細な機構の解明には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
樹状細胞やILC2といった獲得免疫と自然免疫系のGas6標的細胞(Axl発現細胞)に注目し、RSV感染に伴う免疫応答制御機構を解明する。また、RSV感染患者におけるGタンパク質とGas6産生の関係を探ることにより、本研究をより有意義なものにする。
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