2017 Fiscal Year Annual Research Report
食道胃接合部腺癌におけるKRAS遺伝子増幅の意義とその悪性化メカニズムの解明
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16H06259
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 副医長 (70583045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道胃接合部腺癌 / KRAS / 分子標的治療 / MEK阻害剤 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続いて、KRAS遺伝子増幅の変化を127例の症例を用いて検討したところ、30例に陽性をみとめ、陽性率は23.6%であった。KRAS遺伝子増幅を来した症例では、KRAS遺伝子増幅を認めない症例に比して有意に予後不良であった(P=0.048)。このように臨床検体で悪性度と相関するKRAS遺伝子増幅のさらなる解明のために、Dana-Farber Cancer InstituteのDr. Adam J Bassと本格的に共同研究を開始した。KRAS遺伝子増幅を来す部位で、明らかにKRASタンパクの発現増加があることをFISHおよびIHCで確認した。TCGAのデータを利用するに、食道腺癌の15%、胃癌CINの13%でKRAS遺伝子増幅を認めた。KRAS遺伝子増幅を示す細胞株を用いたsi-RNAの実験系で、KRAS遺伝子増幅をノックダウンすることで明らかに細胞増殖が抑えられることを確認した。さらに、このKRAS遺伝子増幅を来した細胞では、GDP結合型のものがほとんどあることが判明した。KRAS遺伝子増幅を来した胃癌細胞株はMEK阻害剤に抵抗性を示し、それらではp-Aktが高発現していた。このp-Aktの活性は、GTP結合型KRASの増加が原因であることが判明した。そこでMEK阻害剤にpAKT阻害剤の併用を試してみたが、細胞活性に変化がみられず無効でった。そこで、GDP-GTPの変換酵素であるSOSを阻害することで、細胞活性を抑制できることを明らかにした。KRAS遺伝子増幅を示す腫瘍に対して、MEK阻害剤とSOS阻害剤が有効であること初めて明らかに、現在Nat Medicineのrevise作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行しており問題なし。
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Strategy for Future Research Activity |
論文を投稿/revise中であり、reviewerのコメントにより追加実験・追加検証を継続していく。
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Research Products
(6 results)