2017 Fiscal Year Annual Research Report
Coupling regulation by osteoclastic exosomes
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16H06261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
苅谷 嘉顕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20633168)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨・軟骨代謝 / カップリング / 骨形成 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨リモデリングにおいて、破骨細胞により骨吸収された部位を選択的に埋め戻す様式で骨形成が生じるカップリング現象が知られている。一方で、この埋め戻しが起こる部位の選択性や、埋め戻し量がどのように制御されているかは不明な点が多い。本研究では、こ のメカニズムの一端を解明することで、骨代謝の生理学的理解を深めることを目的としている。研究代表者らの研究から、破骨細胞が活性化する際には、多量のexosomeを細胞外に放出していることを見出しており、このexosome上には、多数の機能性タンパク質が搭 載されていることをショットガンプロテオミクス解析により同定している。このexosomeが、骨芽細胞の分化成熟に影響を与 えることを示唆すする知見をin vitro、in vivo、両面より得ており、exosomeがカップリングにおけるキーファクターである可能性を 見出している。また、exosomeに搭載されている機能性タンパク質には、細胞動態・遊走性制御に関わる分子が認められたことから、 破骨細胞から放出されたexosomeが、骨形成を担う骨芽細胞の骨吸収窩近傍への方向性を持った遊走に影響を与え、カップリングに 制御に寄与する可能性を想定された。一方で、exosomeは、破骨細胞が放出するexosome搭載タンパク質のレパートリーは、破骨細胞の分化状態に応じて異なることを見出しており、遊走性制御に関わるタンパク質群の搭載量も異なる可能性が考えられた。そこで、多くのタンパク質の量的変動を正確に評価するため、定量的プロテオミクス実験系を確立を行った。また、下流シグナル伝達経路解析を定量的に評価することも念頭に、定量的リン酸化プロテオミクス実験系の確立も進めている。現在のところ、分化段階の異なるexosomeは、複数の細胞遊走性制御分子の量的変動の可能性を見出しており、更なる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
より定量的に正確な議論を、網羅的に行えるように、定量プロテオミクスの実験系を構築したことで、個々のタンパク質の量的変動を個別にトレースする方針比べ、効率的に研究を進める基盤を確立させることが出来た。確立した実権系を用い、分化状態が異なるexosomeにおいて、遊走性制御に影響を与えうるタンパク質群の発現量変動を見出しつつある。また、運動性制御に関わらない分子群についても、量的変動の評価が出来ており、これまでとは異なる角度から骨芽細胞に与える影響を検討可能となりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度計画として、1つの方針は、引き続き、遊走性制御に関して検討を進める。具体的には、分化状態が異なる破骨細胞由来のexosome間において、量的変動が見出されたタンパク質が、実際に骨芽細胞動態に影響を与えるかどうかを、該当分子を欠損(あるいは発現量を抑制)させたexosome用いた検討にて検証する。また運動性制御関連分子以外に関しても、分化状態が異なる破骨細胞由来のexosome間で搭載量が異なっていることを見出しているため、その点の更なる検証として、シグナル伝達解析も新たな方針として進めていく。具体的には、定量的リン酸化プロテオミクス実験系を構築しつつあるため、分化状態が異なる破骨細胞由来のexosome間で搭載量が異なる分子と、それらのexosomeを骨芽細胞に添加した際のリン酸化状態のプロファイルを対比することで、exosomeがが骨芽細胞分化に与える影響をシグナル伝達の観点から網羅的に検証することを試みる。
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