2016 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシンシグナルを介した妊娠高血圧腎症の病態機序の解明と臨床への応用を目指して
Project/Area Number |
16H06266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入山 高行 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10570442)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症(Preeclampsia:PE)は、妊娠中に新たに発症した高血圧および蛋白尿を主徴とする疾患であり、母児の周産期罹病の主因となっている。低酸素、炎症などのストレスによる胎盤のダメージがPEの発症に深く寄与することはよく知られているが、その詳細な機序はいまだ不明な点が多い。PEに対する病態に即した有効な治療法は存在せず、PEの発症における分子メカニズムの解明および治療法の開発は我々周産期医療従事者にとっては喫緊の課題である。昨年度の実績として、小動物(マウス、ラット)の血圧の測定機器および採尿装置を導入し、妊娠マウスを用いたPEモデルの実験系を立ち上げ、高血圧や蛋白尿などマウスの表現型を正確に評価できる実験系を立ち上げることができた。PEは、胎盤および全身の血管の内皮障害に特徴付けられることが知られ、病態形成に密接に関与する。そこで、血管内皮障害の改善を期待できる、薬剤Aの治療効果をPEモデルマウスを用いて検討した。結果として、薬剤Aが、高血圧や蛋白尿の改善を促し、さらには胎盤の傷害を改善し胎仔の発育も促す、というPEに対する治療的な効果を示す結果を得つつある。臨床への応用を見据えて、さらに検討を進めていく。また、アデノシンシグナル伝達機構やMAPキナーゼ経路を中心としたストレスシグナル伝達機構のPE病態機序への関与に関して、細胞を用いた実験系を用いて研究を遂行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、マウスを用いた妊娠高血圧腎症モデルの実験系を立ち上げ、病態の解明や新規治療法の開発に向けて研究が遂行できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度には、妊娠高血圧腎症のモデルマウスの表現型を正確に評価できる系を立ち上げることができた。さらには他のモデルマウスを用いた実験系も立ち上げ、病態機序のさらなる解明と病態に即した新規治療法の開発に向けて研究を推進したい。計画書に記載をしたアデノシンシグナル伝達経路のみならず、MAPキナーゼ経路やほかのストレスシグナル伝達経路の関与に関しても検討を行っていく。
|
Research Products
(2 results)