2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multiple zeta values and functions
Project/Area Number |
16H06336
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 昌信 九州大学, 数理学研究院, 教授 (70202017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 耕二 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60192754)
大野 泰生 東北大学, 理学研究科, 教授 (70330230)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 多重ゼータ関数 / 多重ベルヌーイ数 / アソシエータ関係式 / 合流関係式 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者金子は津村博文と共同で,レベル2の多重ゼータ値,またそれに付随する多重ゼータ関数や,多重ベルヌーイ数のレベル2版の研究を行った.レベル2の多重ゼータ値については,Hoffmanが一つの定義を与え研究を行っているが,我々のものは,彼が調和積を満たすものとすると,シャッフル積に従う対象である.数値実験も行い,次元予想を確立しようとしたが,重さの偶奇に従い半分だけの規則を見つけるに留まっている.これの有限類似の研究も進行している.分担者松本は,Essouabriと共同で,分子に部分的に捻り因子が載っている形の多重ゼータ関数について,その非正整数点での値の明示公式を,Mellin-Barnes 積分の手法と de Crisenoy の結果に基づいて証明した.分担者大野は,佐々木と共同で,多重ベルヌーイ数に関する零化公式の性質を具体例とともに議論したうえで,一般多重ベルヌーイ多項式に関する漸化式を与えた.また和山と共同で, Kaneko-Tsumura多重ゼータ関数(イータ関数)側からt補間を行い,この場合の関数が,Arakawa-Kaneko多重ゼータ関数(クシー関数)側から行ったt補間とどの程度異なるものになるのかを考察し,関係式を与えた.研究協力者古庄は,多重ゼータ値の全関係式を与えると予想されている,アソシエータ関係式と,広瀬-佐藤の合流関係式が等価であることを証明した.協力者山本は,連結和の方法を用いて,HoffmanやZhaoの関係式の見通しの良い別証明を与えた.協力者田坂は,楕円モジュラー新形式を2重Eisenstein級数の基底で表示する明示公式を与えることにより, 2重ゼータ値とモジュラー形式の関係を具体的に記述するGangl-Kaneko-Zagierの結果を精密化した.応用として新形式のFourier係数の明示公式を得た.他の成果は文献に譲る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に掲げたそれぞれの項目はおおむね順調に進展している.今年度までに得られた結果のなかでも,多重ゼータ値の積分-級数関係式(金子-山本),合流関係式(広瀬-佐藤),それとアソシエータ関係式との等価性(古庄),有限多重ゼータ値に関する基本予想の一つの説明を与えるq-級数に関する結果(Bachmann-田坂-竹山),アソシエータについての結果(古庄),Broadhurst-Kreimer予想に関する結果(寺杣)などにおいては計画以上の成果を挙げていると言え,ほかにもレベル2多重ゼータ値やそれに付随する多重ベルヌーイ数についての結果や,2重ゼータ値とモジュラー形式の関係についての研究,多重ゼータ関数の研究など,多方面に研究を進捗させることが出来ている.多重ゼータ値・関数をメインテーマとする国際研究集会やサマースクールの開催,その他多数の研究集会,セミナーの開催などの活動も順調で,本年度は特に,3年ぶりに京都大学数理解析研究所で研究集会「多重ゼータ値の諸相」を開催し,内外からの講演者による最新の研究成果の発表と議論を行い,若手の育成と次世代に向けた問題発掘に取り組んだ.また多重ゼータ値研究の第一人者である Hoffman, Zhaoを招聘しての国際研究集会を九州大学で開催するなど,全体として極めて活発に研究の進展,成果の発表と,次の進展に向けた議論という循環が順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の状況次第であるが,引き続き,研究代表者,研究分担者,研究協力者がそれぞれの分野で関連する各々の研究を進めるとともに,国際共同研究も推進していく.台湾の「関数体学派」との交流も引き続き継続する.インドの多重ゼータ値研究者との交流も開始する.九州大学多重ゼータ研究センターを中心とするセミナーや,名古屋大学でのセミナー,関西多重ゼータ研究会などの活動も引き続き活発に推進していく.
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Research Products
(45 results)
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[Journal Article] 秋山-谷川三角形の母関数2020
Author(s)
井原 健太郎, 関谷 大輔
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Journal Title
Annual reports by Research Institute for Science and Technology
Volume: 31
Pages: 1~3.
Open Access
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