2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70211951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 守 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00242090)
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 講師 (50531779)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子星合体 / 重力波 / ガンマ線バースト |
Outline of Annual Research Achievements |
観測装置に関しては、カメラ筐体の熱試験と再設計を繰り返した。また、CMOSセンサ読み出し回路の設計と試作を実施した。その後、開発した読み出し回路を用いてCMOSセンサの駆動試験を実施した。一連の試験の結果、カメラ部が要求する性能を実現することを確認した。 理論研究では (1) 提案されているいくつかの中性子星状態方程式を採用して、連星中性子星合体および合体後に形成される大質量中性子星と降着円盤からなる系の長時間進化、の数値相対論シミュレーションを行い、放出される物質の化学的熱力学的特性を明らかにした。 (2) さらに、得られた結果を用いて、GW170817の理論モデリングおよびJGEMによる光赤外観測結果の解釈を行った。 (3) 中性子星合体の際に自由中性子のみからなる層が高速で飛び出してくる可能性について、流体力学的数値計算を行い調べた。その結果、最大で太陽質量の100万分の1程度が放出されることがわかり、その層が数時間の間観測可能なほどの明るさで可視光で光ることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測装置の開発は計画どおり進んでいる。CMOSセンサの調達がH29年度に遅延したものの、その後のセンサ駆動試験と熱試験が順調に進んだため、当初の開発計画に対して影響は出ていない。 中性子星合体の一般相対論的シミュレーションによる理論モデル構築は着実に改良されている。中性子星合体から期待される初期放射についての理論モデル構築は、この研究費で雇用した研究員の努力によって流体力学計算の部分はほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
観測装置に関しては、H29年度にカメラ部のメカ部を完成させた後に、初めはCMOSセンサを4台程度搭載した試験観測を実施する予定である。その後、試験結果を見ながら搭載するセンサの数を増やしていく。H30年度には、重力波望遠鏡からのアラートを起点に即座に広域をサーベイし変動天体を検出するソフトウエアシステムを構築する。 中性子星合体の一般相対論的シミュレーションは、GW170817 が示唆する中性子星状態方程式および連星パラメータを採用した数値相対論シミュレーションを行い、GW170817の更なる詳細の解明と、2019年から開始が予定されている LIGO O3 観測に備える計画である。 中性子星合体から期待される初期放射についての簡単化した理論モデルについては、輻射輸送計算によってスペクトルを予想し、観測との比較から何が分かるかを調べる予定。
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