2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of neutron star mergers by high cadence optical observations
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16H06341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 守 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00242090)
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (50531779)
カンノン キップ 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50777886)
伊藤 洋介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60443983)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子星合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月CMOSカメラ82台搭載したTomo-e カメラの設置が完了した。重力波望遠鏡LIGO+VIRGOからのアラートに対応して自動的に追尾観測するソフトもこの科学研究費で雇用した研究員が開発し、稼働した。6月より本格観測を開始した。重力波観測によって中性子星合体によると思われる重力波が一例検出されたが、光学対応天体の検出には至らなかった。天体までの距離が遠すぎて、暗かったため世界のどの望遠鏡でも捉えることはできなかった。現在、Tomo-eカメラによって信号が検出された際に各天文台にアラートを自動的に発信するソフトを開発中である。 理論的なモデル構築では、中性子星合体後に放出されるジェットの流体力学的モデルをかつてないほど長時間にわたって計算し、その全容に迫った。中性子星合体時に真っ先に放出される自由中性子のみからなる物質はその後の核融合反応で、先端は水素とヘリウムのみからなる物質になる。その部分がどのように光るのか、スペクトル計算を行なっている。主に水素のバルマー系列の遷移と中性ヘリウムの励起状態間の遷移による可視光との相互作用を考慮したスペクトル計算を行い、将来の観測からどのような情報を引き出せるかを検討している。中性子星合体から放出される主な物質は鉄より思い重元素である。それらは非常に高速で放出されるので、宇宙線の中にも含まれることが期待される。宇宙線の組成を測ることで中性子星合体が我々の住む銀河系でどの程度起こっていたのかの情報を得られる可能性を探る研究の準備もしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年4月CMOSカメラ82台を搭載したTomo-e カメラの設置が完了した。重力波望遠鏡からのアラートに対応して自動的に追尾観測するシステムも稼働した。6月より本格観測を開始した。 理論的には、中性子星合体からのジェット放出機構のモデルと初期放射スペクトルのモデル計算が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
重力波観測がコロナウィルス感染拡大の影響もあり、中断している。重力波望遠鏡はアップデートのフェイズに入るので、この科学研究費の期間中にはもう観測は行われない。そこで、このカメラの特性を生かして他の突発天体探索も精力的に行う。例えば、超新星爆発の初期段階の検出を行う。また、白色矮星の測光観測データを用いて周期解析を行い、周期数十秒以下で高速自転している天体を探し、連星白色矮星合体の痕跡である可能性を探る。
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