2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular quantum liquids in strongly correlated electron systems
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16H06346
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 礼三 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (80169531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 尚也 東邦大学, 理学部, 教授 (40316930)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 分子性固体 |
Outline of Annual Research Achievements |
・熱伝導率は、量子スピン液体の基底状態を解明する上で重要な物理量である。量子スピン液体EtMe3Sb[Pd(dmit)2]2の熱伝導率は、大きな値とギャップレス的振舞いで特徴付けられると2010年に報告されたが、2019年にこれを否定する結果が報告された。この熱伝導率測定データの不一致の原因として、「2種類の結晶の存在」と「熱伝導率の冷却速度依存性」が提案されたが、注意深い実験を行い、これらに否定的な結果を得た。この問題に最終的な決着をつけるための実験を検討している。 ・昨年度、有機ディラック電子系α-(BEDT-TTF)2I3の電子相関効果を圧力で制御することにより、質量ゼロのディラック電子系から電荷秩序相への量子相転移現象を見出した。 本年度は、この量子相転移現象を詳細に調べた。驚くべきことに、ディラック電子が質量ゼロの性質を保ったまま量子相転移を起こすことを初めて明らかにした。 ・単一成分分子性ディラック電子系[Pt(dmdt)2]に関して強結合近似計算を用いてディラックコーンの生成機構を明らかにして、ディラック電子系を得やすい分子配列(stretcher bond配列)を提案した。 ・量子スピン液体の候補物質を薄膜デバイスとし、電気二重層トランジスタを作製した。トランジスタ機構によるフィリング制御と、フレキシブル基板の歪み調整機構によるバンド幅制御とを組み合わせて、量子スピン液体周辺の電子相を探索した。その結果、量子スピン液体に対してドーピングを行うと、電子ドープでもホールドープでもBad metal相および超伝導相が現れることが明らかとなり、それぞれの量子液体が相図上で互いに接していることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(34 results)