2017 Fiscal Year Annual Research Report
The role of public relations in building organization-public relationships
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16H06588
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
須田 比奈子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 学術研究員 (90778424)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 組織とパブリックとの関係性 / 対境担当者 / 組織間関係論 / コンティンジェンシー理論 / 統合 / 組織過程 / 企業メッセージ / パブリック・リレーションズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、広報論において近年見直しが求められている「組織とパブリックとの関係性」に関する既存理論に修正を加え、実証的分析を行うことを目的としている。平成29年度は以下の研究活動を行った。 前年度の研究成果と、コンティンジェンシー理論研究の知見(組織は環境に適した「分化」と「統合」を実現することにより組織の有効性を高める)を基に、日本企業(製造業)30社を対象として、以下の3つの変数間の関係を分析した。①環境(「統合」の必要性の程度)、②企業メッセージ(公式のメッセージで組織価値観が表現される程度)、③組織における広報の位置づけ(広報部門の「統合」プロセスへの関与の度合い)。変数の測定には、各企業の有価証券報告書とニュースリリース・データ、および質問紙調査を用いた。なお、当初は聞き取り調査を予定していたが、より多くの企業の現状を把握するために質問紙調査に切り替えた。 主な知見として、統合の必要性は企業メッセージに正の影響を及ぼすこと、統合の必要性が高い企業のほうが、広報部門の統合プロセスへの関与の度合いと企業メッセージとの関係が弱いことが確認された。この結果は、統合の必要性が高い環境下では、各部門のコミュニケーション担当者(対境担当者)への権限委譲が進んでいることを示唆している。その場合、広報部門は対境担当者間の情報共有と協働に寄与することで組織に貢献できるといえる。また、広報部門が統合プロセスに深く関与することなく質の高い企業メッセージを発信している企業では、特別な統合装置(組織固有の文化、歴史、風土)が機能していると考えられる。上記の知見は、既存研究には見られなかった広報部門以外の対境担当者の存在を前提とした分析によって得られたものであり、今後の広報研究の方向性に影響を及ぼす重要な発見といえる。 以上の成果は、日本広報学会研究発表全国大会、および国際会議IPRRCで報告した。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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