2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of reductive dimetallation reactions
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16H06593
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土井 良平 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40780052)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素-金属結合の構築は、有機合成において基本的なプロセスのひとつである。なかでも、不飽和化合物に対して付加型の反応により炭素―金属結合を導入する手法は、豊富に存在するアルケン、アルキン、アレンなどのビルディングブロックを足掛かりとした有機合成への活用が期待できる。特に、ジメタル化反応はひとつの有機化合物に反応点を一挙に二カ所導入することができるため、合成経路の短縮に貢献できるポテンシャルを秘めている。その一方で、炭素―金属結合の不飽和化合物への導入では多くの場合、高価なジメタル化合物が用いられており、安価な代替法の開発が期待されている。そこで本研究課題では、不飽和化合物の還元的なジメタル化反応の開発を検討した。金属還元剤および遷移金属触媒を用いて不飽和化合物とクロロシランとの反応を用いた検討は、行った範囲では効果的ではなかった。そこで今後はアプローチを変えて、配向基を有する基質を合成し、これと遷移金属錯体の配位挙動を調査することで、目的の反応開発の足掛かりとすることとした。また、上述したように初期スクリーニングの段階では良い結果は得られなかったものの、還元剤を種々検討する上でアルデヒドのピナコールカップリング反応を鉄塩を触媒として用いることで進行することを見出した。ピナコールカップリング反応はこれまで高価なサマリウムが主に用いられてきたが、今回鉄触媒にも同様な反応を加速させる効果があることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
還元的なジメタル化反応の開発において、炭素―ケイ素結合形成反応を最初に検討したが、目的の反応は進行しなかった。錯体化学的な検討によって手がかりとなりうる結果を得ているので、今後その部分を検討した上で、アプローチの仕方を変えていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、アルキンおよびアルケンのビスメタル化反応の開発を目指して、後周期遷移金属錯体を用いた錯体化学的なアプローチに切り替える。アルキンに対して活性なシリル―遷移金属錯体を発生させる手法の確立を目指す。
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