2016 Fiscal Year Annual Research Report
COPDの気道上皮リモデリングにおけるAxl受容体チロシンキナーゼの役割の解明
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16H06641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤野 直也 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (10633670)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 気道上皮細胞 / 組織幹細胞 / Axl受容体チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患はタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じる肺の炎症性疾患である.気道上皮細胞の異常な組織再構築(リモデリング)がその病因に関与すると考えられており,新しい治療標的として注目されている.近年,気道上皮幹細胞の機能異常が上皮リモデリングに関与することが報告されているが,その分子機序は完全には解明されていない.申請者はマウス気道上皮の幹細胞とされている基底細胞にAxl受容体チロシンキナーゼが発現していることを発見し,基底細胞の活性化にAxlが重要な役割を果たすことを見出した.本研究の目的はCOPDの気道上皮リモデリングにおけるAxlキナーゼ経路の役割を明らかにすることである. 平成28年度は,ヒト肺組織切片を用いて末梢気道におけるAxl発現細胞の局在を決定し,健常肺およびCOPD肺における数の違いを検討した.免疫染色でAxlがP63陽性基底細胞に発現することを確認した.COPD気道上皮では健常組織に比べ,単位気管支あたりの数が増加していた.また,血清中の可溶型Axlの濃度を測定し,健常者およびCOPD患者における違いを比較した.その結果,健常者,COPD患者間での可溶型Axlの濃度に有意差は認められなかった. in vitro実験では,気道上皮細胞株であるBeas2B細胞のAxl発現をRT-PCR,ウェスタンブロット,フローサイトメトリーで確認した.Axlの機能解析を行うため,siRNAを用いたノックダウン実験の至適培養条件を決定した.Axlキナーゼの下流シグナル伝達経路の探索のため,Axlが恒常的に活性化されている気道上皮細胞株を用いて,Axlキナーゼ阻害薬処置群とコントロール群の2群で網羅的遺伝子発現アレイを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト肺組織および血清サンプルを用いた研究は予定どおり終了した.気道上皮細胞株に対するsiRNAによるAxlのノックダウン実験の条件検討に時間を要したため,機能解析実験を行うことができなかった.しかし,平成29年度に施行予定であったAxlキナーゼの下流シグナルを網羅的遺伝子発現アレイを用いて探索した.
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Strategy for Future Research Activity |
siRNAを用いたノックダウン実験は,至適培養条件が決定できたため,平成29年度4-6月で行う予定である.同時に,網羅的遺伝子発現アレイの結果を解析し,Axlキナーゼの下流で動く遺伝子群を同定する.さらに,Axl遺伝子欠損マウスの準備が整い次第,in vivo実験を開始する.
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