2016 Fiscal Year Annual Research Report
支台歯形態とセメントのひずみに着目したCAD/CAM冠脱離のリスクファクター探索
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16H06644
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝田 悠介 東北大学, 大学病院, 医員 (70781277)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | CAD/CAM冠 / レジンセメント |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイブリッドレジンCAD/CAM冠(以下CAD/CAM冠)はその高い有用性および保険収載により急速に普及が進んだが、冠脱離の頻度が高いことが問題となっている。この問題に対してこれまでCAD/CAM冠とセメント接着について多くの研究が進められてきたが、脱離原因および対策のコンセンサスは未だ得られていない。 これまでの臨床研究からCAD/CAM冠支台歯の集積したスキャンデータを基に実際に脱離した症例の支台歯形態を定量的に分析し、支台歯高径やテーパーとCAD/CAM冠脱離の関連を明らかにしていく。また、偏心運動時の応力に対する冠およびセメント材料のひずみが冠脱離に及ぼす影響に着目し、支台歯形態およびセメントの弾性係数の違いが接着に及ぼす影響を三次元有限要素と材料試験から明らかにする。本研究の目的は、上記二つの観点からCAD/CAM冠脱離の原因を究明し、その予防策の発信することである。具体的には、最適な支台歯形態を提案することや、脱離のリスクを明確にすることで補綴装置選択の材料になるよう、実際の臨床における指標を示すことを目指している。 本年度は材料試験の面を主に進めてきた。口腔内という過酷な環境で機能するセメントの性質に注目している。特にセメントの弾性係数の違いがCAD/CAM冠接着に及ぼす影響を調べており、試料作製から予備試験を進めている段階である。本研究が順調に進めば、CAD/CAM冠装着時に使用するセメントの選択において、有効な提案ができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAD/CAM冠用コンポジットレジンブロックと各種セメントについてせん断応力を測定した。本研究における新規性として弾性係数の異なるMMA系レジンセメントを用いたが、粉液比を統一するために混和法を用いて試料作製を試みたがセメントの流動性が高く、試料を目的の形態に成型できず、粉液比を統一せずに筆積み法を用いるか、筆積み法用の粉液を用いて適切な粉液比を計量し、試料を作製するか検討中である。コンポジット系レジンセメントの試料については概ね作製ができ、2×2×25 mm棒状試料のセメントの強度を測定するための試料を作製している。 繰り返し荷重用の試験片に対し、50 MPaの繰り返し荷重をかけてもセメントの界面に亀裂などは認めず、仮説の検討と、荷重条件の見直しが必要である。 臨床形態を模した接着強度試験については、予備試験中で、試料の軸面高さが高すぎると引張試験時に支台歯が頸部で破折し、正確な接着強度を測定できておらず、改善が必要である。現在、軸面高さを浅くして予備試験を試みており、安定したデータが得られれば計画を進めていく。 臨床データの解析に関しては、パラメータの選定や解析方法を検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
セメントの曲げ強度と繰り返し疲労の接着強度試験を優先し、並行して臨床形態を模した試料の作製を進めていく。繰り返し荷重試験機は1機しかないため、計画的に試料の作製と繰り返し荷重試験を行い、機械が休んでいることのないようにする。 MMA系レジンセメントに関しては混和法の粉液では試料作製が困難なため、筆積み法用の粉液を用意し、実臨床で用いる調度を計量し棒状試料並びに合着操作を行う。 3次元有限要素解析に関しては臨床形態を模した形態の有意義な結果が得られた後、力学的な現象を捉えるためにin silicoの研究として行う。 以上のように材料試験の内容に関しては年度内に英文誌に投稿できるよう、半年程度を目処にデータを獲得し、残りの半年でデータの解析、執筆を行う。
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