2016 Fiscal Year Annual Research Report
シスチン輸送体xCTの抑制によるFerroptosisの誘導と腫瘍抑制機構の解明
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16H06648
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小林 翔 山形大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10779490)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | グルタチオン / システイン / xCT / ferroptosis / 癌 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
シスチン輸送体xCTは抗酸化システムの中心的な役割を担うグルタチオンの合成において必要不可欠であるシステインの供給経路として機能し、最近では悪性度の高い癌細胞において高発現することから、癌治療の標的として期待されている。xCTの阻害や欠損はFerroptosisと命名された特徴的な細胞死が起きることがわかっており、新規の細胞死経路として注目を集めている。本研究では、xCT阻害により誘導されるFerroptosis経路を明らかにし、腫瘍の形成と成長におけるxCTの果たす役割の解明目指し、xCT遺伝子欠損(xCTKO)マウスおよびそのマウス由来培養細胞を用いて検討を行なっている。 xCTKOマウスと野生型(WT)マウス腹腔内からチオグリコレート滲出性マクロファージを分離し初代培養を行なったところ、xCTKOマクロファージは培養に伴い細胞内のシステインが枯渇し、グルタチオン量が減少するにもかかわらず、予想と反してWTマクロファージと同様に培養環境下で生存可能であることがわかった。免疫賦活剤の一種である細菌性リポ多糖(LPS)刺激はWTマクロファージではxCTの発現を誘導し、細胞内システイン量とグルタチオン量を上昇させる一方で、xCTKOマクロファージではさらにグルタチオン量を減少させた。細胞内の活性酸素レベルを測定したところ、WTマクロファージに比べxCTKOマクロファージの方がLPS刺激による活性酸素レベルが著しく高く、活性酸素産生試薬であるメナジオンに対してxCTKOマクロファージは脆弱であった。これらの結果は、マクロファージにおけるシステイン供給はxCTに依存しており、マクロファージにおけるグルタチオン枯渇は細胞内活性酸素レベルの上昇を招くが、Ferroptosisによる細胞死は誘導されないことを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いた還元型チオール類と酸化型チオール類の同時測定系の確立に時間を要し、遅れている。しかし、培養細胞、マウス組織および血漿中からの還元型グルタチオンとシステインなどの還元型チオール類に加え、酸化ストレスマーカーであるオフタルミン酸のサンプル調製方法とLC-MS/MSでの解析方法は確立している。今後、酸化型グルタチオンやシスチンなどの酸化型チオール類の測定のため、還元剤を用いた方法を検討する予定である。 不死化させたxCTKOマウス由来胚性線維芽細胞(xCTKO-MEF)にxCT遺伝子を組み込んだ細胞(xCT-addback-MEF)およびxCTKO-MEFおよびxCT-addback-MEFに発現遺伝子(c-myc/H-Ras)を組み込んだ腫瘍様細胞は本年度中に作成する予定だったが、研究協力者から譲渡を受けるはずのウイルスベクターが手に入らず、予定通り実験を進めることができなかった。今後、申請者自身でマウスxCT発現プラスミドベクターおよびc-myc/H-Ras発現プラスミドベクターを作成し、遺伝子組換え細胞を至急作成し、来年度で本研究が達成できるように研究を進める。 xCTKOマウス腹腔内から分離した初代培養マクロファージは、細胞内のシステインが枯渇しグルタチオンが低値であるのにも関わらず、WTマクロファージと同様に培養条件下で数日間生存可能であることを発見した。このことは、xCTKOマクロファージにFerroptosisを回避する何らかの機構が存在することを示唆する。来年度では今年度の遅れを取り戻しつつ、xCTKOマクロファージのFerroptosisを回避する機構について優先的に解明する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を見直し、腫瘍様細胞の作成を平成29年度の中盤を目処に実施する。腫瘍様細胞の作成が済み次第、マウスに皮下注射し、xCTの有無が生体内において腫瘍の形成と成長にどのように寄与するかどうかについて検討を行なう。 xCTKOマクロファージがグルタチオン枯渇条件下でFerroptosisを回避し、生存を可能とする機構を解明するため、xCTKOマウスおよびWTマウスの腹腔マクロファージの初代培養細胞を用いてFerroptosisの指標であるグルタチオンペルオキシダーゼ4のタンパク質発現や蛍光試薬を用いた脂質過酸化の測定を検討することに加え、プロテオミクス解析を利用し、グルタチオン枯渇から生存を可能とするタンパク質因子を同定・機能解析を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] xCT deficiency aggravates acetaminophen-induced hepatotoxicity under inhibition of the transsulfuration pathway2017
Author(s)
Eun Sil Kang, Jaeyong Lee, Takujiro Homma, Toshihiro Kurahashi, Sho Kobayashi, Atsunori Nabeshima, Sohsuke Yamada, Han GeuK Seo, Satoshi Miyata, Hideyo Sato, Junichi Fujii
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Journal Title
Free Radic Res
Volume: 51
Pages: 80-90
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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