2016 Fiscal Year Annual Research Report
会計保守主義と経営者の投資意思決定に関する実証研究
Project/Area Number |
16H06669
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石田 惣平 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 講師 (20780315)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 会計 / 保守主義 / 投資行動 / コーポレート・ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は保守主義が経営者の投資意思決定を規律付けるか,またそうであるならどのようなメカニズムによって企業における会計の保守性が高まるのかについて実証分析を行うことにある.保守主義とはバッド・ニュースとグッド・ニュースを会計上非対称に認識する方法である.近年,基準設定機関を中心に保守主義を排除する動きが広まっているが,いくつかの学術研究からは,保守主義には株主と経営者との間で結ばれる雇用契約を効率的にする効果があるとの指摘がなされている.本研究では特に,設備投資,M&A,在庫投資といった経営者が下す企業の投資意思決定に着目し,保守主義が経営者に対する株主のモニタリングを促進することを通じて,経営者の機会主義的な投資意思決定を規律付けるかどうかについて検証を行う.また,どのようなメカニズムによって,会計の保守性が高まるのかについて分析する. 平成28年度は,「保守主義と経営者の投資意思決定との関係に関する研究」を行っている.まず,会計とファイナンスの領域の大規模な文献のサーベイを実施し,経営者の投資意思決定に関する理論やそれに保守主義が及ぼす影響について整理した上で,具体的な仮説とその背後にある論理の洗練化を図っている.続いて,今後必要となるデータベースの構築を行っている.なお,検証を行う上で一部のデータが購入予定のデータベースに収録されていないため,当該データについては手収集を行っている.さらに,構築したデータベースにもとづいて検証を行い,論文の執筆を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「保守主義と経営者の投資意思決定との関係に関する研究」を進めるうえでは,一部のデータについては手収集を行う必要がある.この作業に予想以上の時間を要したため,研究の進捗状況が若干遅れている.ゆえに,平成28年度の進捗状況を「やや遅れている」としている.
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Strategy for Future Research Activity |
「保守主義と経営者の投資意思決定との関係に関する研究」を進めるのに必要なデータが一通り揃ったため,順次研究を進める予定である.なお,平成29年度より「保守主義を高めるメカニズムに関する研究」も行う予定であり,これに必要なデータも一部手収集を要する.これらの作業については申請者が所属している研究科の学生に協力を依頼する予定である.
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