2016 Fiscal Year Annual Research Report
新しい骨格筋グリコーゲン回復法の探索 -糖質のエネルギー利用に着目して
Project/Area Number |
16H06689
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 祐美子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60780608)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / グリコーゲン回復 / 解糖系 / 運動後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ICRマウスを用いた、滑車上筋のグリコーゲン濃度を低下させる運動条件の確立と、解糖系の律速酵素ホスホフルクトキナーゼ(PFK)阻害剤の運動後の回復期の投与効果を検討した。 摘出した滑車上筋をin vitroで培養して運動後の回復期の糖代謝を見る実験ではSDラットを用いた方法は確立されていた。しかし、申請者のこれまでの運動後の骨格筋グリコーゲンに関する研究ではICRマウスを使用しており、摘出骨格筋の培養時に添加するグルコースやインスリン等の濃度をこれまでに得たデータを基に決定したいと考え、本研究でもICRマウスを用いることとした。そのため、本年度前半はICRマウスで骨格筋グリコーゲン濃度の低下をもたらす水泳運動のプロトコールを確立に取り組んだ。 本年度後半は、水泳運動直後に滑車上筋を摘出し、生理的濃度のグルコースとインスリンを含む培養液にPFK阻害剤のサリチル酸ナトリウムを1 mM添加し、グリコーゲン濃度の回復を検討した。その結果、仮説に反して、PFK阻害剤添加条件では非添加条件と比較して、グリコーゲン回復が抑制されるという結果が得られた。高濃度の解糖系律速酵素の阻害剤の添加により、グルコースの中間代謝物グルコース6リン酸(G6P)の蓄積、G6P濃度上昇による糖取り込みの律速酵素ヘキソキナーゼの抑制が起こった可能性が考えられる。また、その結果、糖の取り込みが低下し、グリコーゲン回復が抑制された可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初PFK阻害剤として使用を考えていた物質が、培養溶液であるKHB bufferに溶解しないという問題が発生した。そのため、他のPFK阻害剤の使用の検討が必要となり、当初の計画よりも解糖系阻害剤添加実験に時間を要した。また、今年度の研究結果より、阻害剤の投与濃度に関してより詳細な検討が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度には高濃度の解糖系律速酵素阻害剤の添加による運動後の骨格筋グリコーゲン回復の抑制がみられた。29年度は、解糖系律速酵素の阻害剤の添加量を減らした条件であれば運動後のグリコーゲン回復は促進されるのか、それとも高濃度条件と同様の結果となるのか、検証を行い、運動後の骨格筋グリコーゲン回復と糖のエネルギー利用との関係について、検討することとする。また、28年度に行えなかった、糖酸化利用の律速酵素ピルビン酸脱水素酵素の阻害剤の添加効果に関しても検討を行う。
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Research Products
(4 results)