2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内海 信幸 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (60594752)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 気象システム / 雲 / 降水 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究の目的と意義] 本研究は気象システム内の雲種とその分布も考慮し、GPM 主衛星搭載レーダー(DPR)により利用可能になった準全球の降水三次元観測と気象システム分類手法を用いて、気象システムおよび内部の雲種による降水鉛直構造の違いを明らかにすることを目的とする。本研究により、中・高緯度までも含む準全球における様々な気象システムに伴う降水の鉛直構造が、相互に比較可能な形で明らかになる。 [データアーカイブ] 今年度は衛星データ及び大気解析データのアーカイブを行った。具体的には大気再解析データ(JRA-55)、降水三次元衛星観測データ(GPM-KuPR Level2)、雲種三次元衛星観測データ(2B-CLDCLASS)、静止衛星に基づく雲量データ(北西太平洋領域雲量格子点情報)のアーカイブを行った。 [雲分布データの作成] 全球雲種データ作成の前段階として、北西太平洋領域の雲種データを作成した。これは気象庁作成の北西太平洋領域雲量格子点情報をもとに作成したものである。北西太平洋領域雲量格子点情報は静止衛星による可視・赤外観測情報をもとに雲種別の雲量を推定した格子点データである。本研究では各格子点で1種類の代表雲種を決定する必要がある。このため、雲量から代表雲種を決定する手法を開発した。 [気象システム検出手法の改良] 研究代表者がこれまで開発してきた気象システムの分類手法は特定の解像度(1.0度)の格子点データを入力とするものであった。このため、解像度の異なるデータを入力する際には解像度変換が必要であった。今年度は様々な解像度の入力データに対応できるよう、検出手法のアルゴリズムおよびデータ入出力モジュールの改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はデータアーカイブおよび雲分類データの作成を計画していた。 データアーカイブに関しては大気再解析データ(JRA-55)、降水三次元衛星観測データ(GPM-KuPR Level2)、雲種三次元衛星観測データ(JRA-55)、静止衛星観測に基づく雲量データ(北太平洋領域雲種格子点情報)のアーカイブが順調に進んでいる。 雲種データの作成については、今年度は北西太平洋領域に限定して静止衛星観測に基づく雲量データから雲種データの作成を行った。 これらに加え、当初は次年度に予定していた気象システムデータの作成を一部前倒しして行っており、アーカイブした大気再解析データの解像度に対応できるよう、気象システムの検出アルゴリズムの改良を行った。 以上、今年度計画と次年度計画の順序が一部入れ替わったものの計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
更新されていく観測データおよび大気再解析データは引き続きアーカイブを続ける。 雲種データに関しては、今年度作成したデータのより詳細な検証を行う。また今年度は雲量データから雲種データを作成したが、静止衛星による赤外・可視観測から直接雲種分類を行う手法についても検討する。このために、静止衛星による赤外・可視観測データの収集も行う。気象システム分類については再解析データからの気象システムの検出アルゴリズムのチューニングを進めるとともに、分類数の拡張の可能性を検討する。 作成した気象システム・雲種データを用いて人工衛星搭載の降水レーダによる降水三次元情報を気象システム・雲種により分類し、それぞれの降水三次元構造の特徴を明らかにするとともに、相互に比較可能な形でデータベース化する。
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