2016 Fiscal Year Annual Research Report
高亜鉛含有新規ゼオライトの合成と多価イオン交換触媒としての応用
Project/Area Number |
16H06726
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊與木 健太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50782174)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | ゼオライト / ジンコシリケート / 水熱合成 / 種結晶添加法 / イオン交換 / 多価イオン / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼオライトは結晶性の多孔質アルミノシリケートおよび、メタロシリケートである。中でも本研究において着目してる亜鉛含有ゼオライト(ジンコシリケートゼオライト)は、亜鉛原子がケイ素原子と置換することにより、亜鉛1原子あたり2価の負電荷が誘起され、1原子あたり1電荷であるアルミノシリケートなどと比較して、多価のカチオンを安定化する機能に優れていると考えられる。しかしながら、ジンコシリケートゼオライトの報告例は少なく、合成は困難であると言える。 本研究では、ジンコシリケートゼオライト合成について、より高亜鉛含有であり、高いイオン交換容量を有するものを高効率に合成すべく、検討を行っている。本年度の研究においては、*BEA型、MOR型といった構造のゼオライトについて、既報を大きく上回るイオン交換容量を有するジンコシリケートゼオライトの合成に成功している。 合成法のキーポイントとなるのは、種結晶添加法と、原料調整法であり、種結晶を添加することによりゼオライトを合成可能な原料組成を大きく広げ、これまで用いられてこなかったような反応混合物組成の利用を可能としていること、原料をあらかじめ沈殿法などにより均一に亜鉛が分散した状態とすることで酸化亜鉛などの生成を防いでいることなどが挙げられる。 得られたゼオライトは、ニッケルイオンや銅イオンといった触媒活性点として近年特に注目を集めている2価金属イオンを導入することにより活性評価を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛含有ゼオライトの合成に関して、既報と比較して大きな利点がある種々の手法を確立しつつあり、これらについて幾つかの指針が得られてきている。得られているゼオライト構造は多次元細孔、大細孔といった特徴から大変有用であると考えられており、今後の触媒評価結果も期待できる。以上から、順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回得られた知見、合成法を活かし、異なる骨格構造への展開や、新規骨格構造の合成へと発展させる。展開する骨格構造として、複数の異なる細孔径を同時に有しているゼオライト(マルチポアゼオライト)が近年注目を集め、応用が期待されている。中でもMSE骨格は、これまで本研究で対象としてきた*BEA型ゼオライトと構造が類似しており、実現可能性が高いと期待している。
|