2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of neocortical malformation relevant to autism spectrum disorder
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16H06729
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 大地 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (70549518)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 発生・分化 / 自閉症 / 大脳新皮質 / 大脳領野 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質は知覚・記憶・言語・認知・判断といった高次知的機能を有しており、その形成異常は自閉症を含めた様々な神経疾患の原因となっていると考えられている。自閉症は、言語障害・コミュニケーション障害・限定された興味・反復行動などを主徴とする発達障害であり、発症率も子供の1ー2%と高く、社会的にも大きな問題となっている。しかし、その発症の原因は殆ど分かっておらず治療法も確立していない。 自閉症の発症早期に見られる解剖学的な異常として、大脳の前方領域が肥大化することが知られている。前方領域は言語機能や社会的行動の調節などを担う領域であり、大脳前方肥大化が自閉症発症に関与する可能性が十分に考えられるが、その関連は明らかになっていない。申請者は、自閉症の原因候補遺伝子が複数含まれるFgfシグナルに注目し、その異常が大脳前方肥大化と自閉症発症に関与する可能性を考えた。 そこで本研究では、Fgfシグナル関連因子の変異マウスを用いて、大脳前方肥大化とそのメカニズムの解析、さらには行動解析を行うことにより、大脳前方肥大化が自閉症様行動を引き起こす機構を明らかにすることを目指して研究を行った。 その結果、Fgfシグナルの異常により、大脳前方が肥大化すること、肥大した領域ではニューロン数が増大していることを明らかにした。さらに、自閉症発症との関与を調べる際に用いられる代表的な行動解析を行い、Fgfシグナル関連因子の変異マウスが自閉症様行動をとるのかを検討した結果、予備的ではあるが反復行動の増大や社会性行動の低下が観察された。以上の結果から、Fgfシグナルの異常が自閉症発症早期に見られる前頭皮質の肥大のみならず、さらには自閉症という疾患の発症を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Fgfシグナル関連因子の変異マウスを用いて、大脳前方肥大化とそのメカニズムの解析、さらには行動解析を行うことにより、大脳前方肥大化が自閉症様行動を引き起こす機構を明らかにすることを目指して研究を行った。その結果、新たな知見として、Fgfシグナルの異常により大脳前方が肥大すること、肥大領域においてニューロン数が増大することを見出した。この結果をもとに、肥大のメカニズムに迫ることができるため、研究は概ね順調に進展していると考えられる。また、行動異常についても予備的ではあるが、Fgfシグナルの異常により自閉症様の行動をとることが示唆された。こちらについては、次年度に引き続き検証を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、Fgfシグナルの異常により大脳前方が肥大すること、肥大領域においてニューロン数が増大することを見出した。今後は、肥大した領域において増大したニューロンを分取し、どのような遺伝子発現異常を示しているのかを解析する。さらに、どの時期におけるFgfシグナルが肥大に関与するのかについても解析を行う。 また、行動解析については、引き続き自閉症関連行動解析を行う。
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Research Products
(2 results)