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2016 Fiscal Year Annual Research Report

熱ショック応答におけるノンコーディングRNAを含有する新規核内構造体の機能解析

Research Project

Project/Area Number 16H06743
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

水谷 玲菜  東京大学, アイソトープ総合センター, 特任助教 (30780697)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
KeywordsノンコーディングRNA / 核内構造体
Outline of Annual Research Achievements

細胞のストレス応答における長鎖ノンコーディングRNAの役割を研究する過程で、申請者は以下に述べる新しい現象を発見した。すなわち、通常条件では核スペックル構造体に局在する長鎖ノンコーディングRNAであるMALAT1が、熱ショックによって核スペックルから離脱し、新たな核内構造体に局在変化することを見出した(MALAT1含有核内熱ショック構造体と命名)。しかしながら、熱ショック時に見られるMALAT1含有核内熱ショック構造体の構成因子は全く不明であり、その生理的機能も良く分かっていない。本研究では、まず、①MALAT1結合タンパク質群の同定方法を確立し、この方法を用いて、②MALAT1含有核内熱ショック構造体を構成するタンパク質因子を網羅的に同定する。さらに、同定したタンパク質群を機能解析してMALAT1含有核内熱ショック構造体の生理機能を明らかにすることを目的とした。
平成28年度はMALAT1結合タンパク質群の同定方法の確立とMALAT1結合タンパク質群の同定を行った。MALAT1 RNAに対するビオチン化アンチセンスオリゴを用いて、MALAT1含有構造体のアフィニティー精製を行い、MALAT1 RNAと共沈したタンパク質群について質量分析法により解析した。その結果、同定されたタンパク質群の中に既知のMALAT1結合タンパク質が含まれていたことから、MALAT1結合タンパク質群の同定スキームを確立することができたと判断した。
次に、熱ショック処理した細胞と未処理の細胞からMALAT1含有構造体を精製し、それぞれの複合体に含まれるMALAT1結合タンパク質を質量分析計で同定した。
これにより、MALAT1含有核内熱ショック構造体の構成因子であるタンパク質群候補を得ることが出来たと判断した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初は平成28年度に以下の研究計画をしていた。すなわち、①MALAT1結合タンパク質群の同定方法を確立すること、②この方法を用いてMALAT1含有核内熱ショック構造体を構成するタンパク質因子を網羅的に同定すること、③MALAT1が熱ショックに応答して局在変化する際に必要なMALAT1 RNAの配列を同定することを計画していた。
結果としてはMALAT1結合タンパク質の同定方法の確立することができ、MALAT1含有核内熱ショック構造体を構成するタンパク質因子の候補群を同定することができたことから、研究計画①②については概ね達成できたと考えている。
研究計画③については、MALAT1の配列を一部欠損させた変異体MALAT1発現細胞を構築し、熱ショック時の局在を観察することで局在変化に必要なMALAT1配列を同定することを予定していた。しかしながら、変異体MALAT1を安定的に発現する細胞の構築に難航しており、研究計画③については当初の目標を達成することができなかった。
研究計画①②により抽出されたMALAT1結合タンパク質候補群の中から結合タンパク質を同定できれば、MALAT1結合タンパク質との相互作用に必要なMALAT1の配列を明らかにすることが出来るのではないかと申請者は期待している。このことから、当初計画していた研究計画③を遂行できなかったとしても、熱ショック時の局在変化に必要なMALAT1配列の同定は可能であると考えたため、概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度の実験で同定されたMALAT1結合タンパク質について、熱ショック時にMALAT1と共局在するかについて調べる。すなわち、タンパク質に対する免疫染色とMALAT1に対するRNA-FISH染色の共染色を行うときに局在が一致するかを調べる。これにより、MALAT1含有核内熱ショック構造体の構成タンパク質成分を確定する。
MALAT1含有核内熱ショック構造体の各構成タンパク質成分をそれぞれノックダウンしたときに熱ショック依存的なMALAT1の局在変化が起きるか否かを調べる。これにより、MALAT1の局在変化に必須な因子を同定する。
また、申請者は、MALAT1ノックアウト細胞では熱ショック応答遺伝子の発現が抑制されていることを見いだしている。さらに、MALAT1ノックアウト細胞は熱ショック後の細胞増殖が低下していた。すなわち、MALAT1は熱ショック後の細胞増殖に重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの結果は、MALAT1含有核内熱ショック構造体が熱ショックに応答した遺伝子発現を制御し、細胞増殖促進に寄与していることを示唆している。平成29年度はこの仮説についても検証を行う。具体的には、熱ショック後のMALAT1局在変化に必須なタンパク質をノックダウンすることで熱ショック後の細胞増殖低下ならびに熱ショック応答遺伝子の発現異常が起きるかを調べる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Techniques for genome-wide expression analysis of non-coding RNA.2017

    • Author(s)
      Rena Mizutani, Toshimichi Yamada, Nobuyoshi Akimitsu
    • Journal Title

      Handbook of Epigenetics, 2nd Edition

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-01-16  

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