2016 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌に対するハイドロゲルスペーサー併用定位放射線治療
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16H06756
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
扇田 真美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60779784)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 定位放射線治療 / ハイドロゲルスペーサー |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌に対する根治的治療の体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy: SBRT) は1回の照射線量を増やし、短期間での治療を可能にする高精度放射線治療である。良好な治療成績が報告されている一方で、1回線量増加による隣接臓器の有害事象が懸念される。本研究では、直腸と前立腺の間に挿入し、物理的に距離を離すことにより直腸の被ばくを低減できるハイドロゲルスペーサーを併用したSBRTを行い、その有効性と安全性を明らかにすることを目的とする。日本ではハイドロゲルスペーサーは使用されたことがなく、本研究が初めての使用となる。今後、より安全で効果的な放射線治療の手段として普及が期待され、本研究の意義は大きいと考えられる。 本年度は、事前準備としてこれまでの当院で施行されたスペーサーを用いないSBRT症例を元に、適切なマージン設定と線量制約を決定した。単群非盲検化前向き第Ⅱ相試験、目標症例数25 例として、研究実施計画書を作成し、当院の倫理委員会の承認を得た。スペーサー製造販売会社から臨床研究目的で、医療機器であるハイドロゲルスペーサーの薬監照明を取得し、スペーサーを輸入購入した。 2016年2月から実際に症例登録を開始し、年度終了時点で10例の症例登録を得た。実際のスペーサー挿入は2017年度4月に1例目を予定している。挿入前には、製造販売会社の技術指導員から、手技の講習を受け、初期の挿入時には技術指導員立ち合いのもと、手技を行う。 また、2017年4月に当院のこれまでの前立腺癌SBRT症例について、急性期有害事象を中心とした報告を、日本放射線学会で口演発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書の作成まで順調進み、倫理委員会が開催が月1回のため、倫理委員会が開かれるまでに日数を要したが、1回の審査で滞りなく承認を得た。倫理員会の承認後、医療機器を輸入するための薬監証明取得や、海外送金を伴う医療機器購入の手続きに、当初予定したよりも時間を要した。 患者登録は順調に進行し、登録開始後1か月で10例の症例登録を得た。症例登録は、実際予想していたよりも速いスピードで進んでいる。年度内にスペーサーの挿入手技まで施行予定ではあったが、技術指導員のスケジュールもあり、手技は2017年度に入ってから、行うこととなった。 実際の多少、予定よりも実行が前後する部分もあったが、おおむね予定通りに進行しており、このままのペースで良好な症例登録が得られれば、当初の計画以上に進展する見込みが高い。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度4月には、技術指導員の講習を受けた後、全10例のスペーサー挿入手技を予定している。問題となるような事象が起こらないことを注意深く観察しながら、症例登録を引き続き進め、治療とその後の経過観察を行う。 また今後、2017年9月に開かれるアメリカ放射線腫瘍学会(ASTRO)、11月に開かれる日本放射線腫瘍学会(JASTRO)に、本研究に関連する研究についての演題を登録する予定である。 症例登録が終了し全例十分な観察期間経過後、即座にPrimary endointである急性期消化管有害事象とSecondary endpointである線量分布の改善について解析を行い、ハイドロゲルスペーサーの有効性と安全性について検討する。そこで明らかとなった結果は、学会発表、論文といった形式で世間に公表する。
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