2016 Fiscal Year Annual Research Report
熱性喉頭粘膜障害の組織学的・分子生物学的解明と G-CSF による治療効果の検証
Project/Area Number |
16H06758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 拓 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (50779808)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 熱性喉頭粘膜障害 / 顆粒球コロニー刺激因子 / G-CSF / サイトカイン / 熱傷 / 気道狭窄 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱傷や放射線治療、外科的手術での焼灼などによる喉頭瘢痕や気道狭窄など、熱性喉頭粘膜障害は臨床において非常に治療に難渋する病態である。本研究は,熱性喉頭組織障害の経時的な組織学的変化・分子生物学的なメカニズムの解明を行うことを目的に,動物モデルを作製し,コラーゲンや弾性線維、ヒアルロン酸、分泌線などの組織学的解析と炎症性サイトカインなどの分子機構の分子生物学的解析を行う.また,臨床応用可能な治療として、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与による障害抑制効果を検証することを目的とする. 組織学的解析については、ラット熱性喉頭組織障害を作成し、組織の経時的変化を正常組織と比較し、day1,3,5,7,14,28にて確認した。組織学的解析として、HE染色、アルシアンブルー染色、エラステッィクワンギーソン染色を施行し、以下を確認した。 上皮において、day1での脱落・剥離、day3,5での上皮の再生、day7以降での不完全な上皮の再生を確認した。筋肉において、day1,3,5,7での萎縮・減少、day14以降での再生を確認した。さらに、基底層において、day1での破壊、day3,5,7,14での消失、day28での再生を確認した。分泌腺において、day1,3,5での減少、day7,14,28での再生を確認した。炎症細胞において、day5,7での炎症活性化を確認した。 この解析結果により、熱性喉頭組織障害後の組織再生がどのように行われ、今後の治療法としてどの段階・機序での介入が望ましいかを検討するのに重要であると考えられる。 また、免疫組織学的解析として好中球、リンパ球、マクロファージを検討し、ラット熱性喉頭組織障害モデルにおける様々な細胞関与の解明を行い、またG-CSF受容体抗体発現の検討によりG-CSF投与による治療効果の有無についても検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織学的解析については、当初の計画(day1,7,14,28)では熱性喉頭組織障害後の急性期における組織変化が不明であったため、急性期(熱性喉頭組織障害後day1-7の間)の追加検討が必要と考えられ、平成28年度に検討を行っている。 組織の経時的変化を正常組織と比較し、day1,3,5,7,14,28にて確認した。組織学的解析として、HE染色、アルシアンブルー染色、エラステッィクワンギーソン染色を施行し、以下を確認した。 上皮において、day1での脱落・剥離、day3,5での上皮の再生、day7以降での不完全な上皮の再生を確認した。筋肉において、day1,3,5,7での萎縮・減少、day14以降での再生を確認した。さらに、基底層において、day1での破壊、day3,5,7,14での消失、day28での再生を確認した。分泌腺において、day1,3,5での減少、day7,14,28での再生を確認した。炎症細胞において、day5,7での炎症活性化を確認した。
また、免疫組織学的解析にも急性期の検討を追加しており、現在好中球、リンパ球、マクロファージ、G-CSF受容体抗体について鋭意進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に施行予定であった分子生物学的検討については、現在ラット熱性喉頭組織障害を作成の上、鋭意進行中である。 また、G-CSF投与による障害抑制効果の検討については、平成29年度の検討予定としており、当初の計画通り施行予定である。
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