2016 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シーケンサーによる遺伝子解析の難聴診断・治療への応用
Project/Area Number |
16H06760
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 阿希 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (80783860)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
ターゲットシークエンスと全エクソン遺伝解析結果を用い、新たな難聴遺伝子について検索を行った。 全エクソンシークエンスをおこなったある1症例について、臨床的にwaardenburg症候群の疑いが生じてきたため、症候群の原因遺伝子について点変異を確認した。遺伝子変異の解析は、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)によるリファレンス(hg19)のマッピング、Genome Analysis Toolkit (GATK)での変異検出、annovarによる遺伝子のアノテーションにより行った。得られた変異は、dbSNPと1000 Genomes、Human Genetic Variation Browserの1208人のエクソームデータ、当科の正常症例862サンプルと4種類のデータベースを使用し、登録されているアレル頻度 6%以上の変異は一塩基多型(SNP)として除外した。Waardenburg症候群の遺伝子(PAX3,MITF,EDRNB,EDN,SOX10)について点変異を確認したところ、PAX3:p.R261Xにstopgainの変異を認めた。両親の血液サンプルと本人についてSangerシークエンスを行ったところ、白髪と目の症状を持つ父親にヘテロ変異を認め、症状からPAX3変異がcausal だと推測された。 兄弟で難聴が存在した症例について、健聴の両親と家族については全エクソン解析結果を用い遺伝形式ごとに解析を行った。ホモ接合遺伝形式で4遺伝子に、複合ヘテロ遺伝子で9遺伝子に候補変異が見つかった。コピー数解析も行ったが明らかなコピー数変異は見つからなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規の患者のターゲットシークエンス解析がやや遅れている。原因としては試薬の高騰により以前使用した試薬ではなく他社の試薬を購入したため、以前のデータが使えず試薬の購入も予定より時期が遅れたためである。 現在新規の患者については両親の検体とともにDNA抽出を行い、ターゲットシークエンスのライブラリーを調整中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
東京大学耳鼻咽喉科に来院する難聴の患者より採血もしくは口腔内の粘液採取にて検体を採取し遺伝子解析を実施する、 これまで解析を行ってきた難聴患者38名に関して既知の既知の難聴遺伝子の全エクソン領域については解析終了し、既知難聴遺伝子以外の遺伝子のエクソン領域について解析を28年度からさらに評価を進める。変異情報を絞り込むためにもアレル頻度情報によるフィルタリングを1000genome database、DBExome、TOMMOなどの公共のデータベース、東京大学先端学研究所ゲノムサイエンス講座でのin Houseのデータベースを用いて行う。 現在難聴遺伝子が明らかになっていない21症例の両親についてターゲットシークエンス検査を行う。それで変異が明らかにならなかった場合全エクソンシーケンスを行い、遺伝形式を確認しながらTrio解析を行う。 コピー数変化について、全エクソンシーケンスデータを使用し、難聴患者だけではなく患者の両親も解析し、難聴と関連あるコピー数変化について探索予定である。さらに、全エクソンシーケンスデータを使用しコピー数変化について検討を行う。コピー数変化と塩基置換の複合ヘテロ変異でも病因になりうるのか検討も追加する。 一方難聴症例を先天性でなく後天性にも広げ、難聴の蓄積がある家系を中心に遺伝子解析をすすめていく予定である。また兄弟でも難聴の程度が違うものについても新規遺伝子を探索する。
|