2016 Fiscal Year Annual Research Report
Depdc5コンディショナルノックアウトマウスを用いた神経精神疾患発症機序の解明
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16H06765
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石田 紗恵子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50777927)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 神経疾患 / 実験動物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんと精神疾患は併発することが多く、背景に共通の病因・病態の存在が考えられている。しかしながら、その分子機構は未だ明らかになっていない。DEPDC5(DEP domain containing protein 5)は複数の焦点性てんかんに共通する原因遺伝子として近年同定された。DEPDC5変異を有する患者には、ASD等の精神疾患の併発が多く認められる。さらに興味深いことに、精神疾患のみを単独で示す患者も認められたことから、DEPDC5はてんかんのみならず、精神疾患の病因でもあることが指摘されている。これまでに、Depdc5ノックアウト(KO)個体を作製、解析したが、ホモKO個体は胎生致死を示し、その後の詳細な解析はできなかった。 そこで本課題では、DEPDC5の機能異常と病態との関連を詳細に検討するために、Depdc5を脳部位特異的に欠失させたコンディショナルノックアウト(cKO)個体を作製し、表現型解析を通じて、Depdc5の機能障害がどのようにてんかん、精神疾患を引き起こすのかを明らかにする。 本年度は、Cre-LoxPシステムを用いて、Depdc5 floxマウスと、てんかん発作の原因となる異常放電の好発部位である前脳錐体細胞に特異的にCreを発現するマウス、および、自閉症や統合失調症患者において大きさや密度の減少が報告されている小脳プルキンエ細胞に特異的にCreを発現するマウスをそれぞれ交配することにより、cKOマウスの作製を試みた。結果、前脳錐体細胞特異的Depdc5 KOマウスは、産仔中にcKO個体が認められず、胎生致死が疑われた。現在、胎児の状態について詳細に解析している。小脳プルキンエ細胞特異的Depdc5 KOマウスに関しては、致死性は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定通り、cKOマウスの作製を行った。しかし、前脳錐体細胞特異的Depdc5 KOマウスが胎生致死を示すことが疑われたので、現在、胎児の状態の解析に時間を要している。小脳プルキンエ細胞特異的Depdc5 KOマウスに関しては、予定通りに計画を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
前脳錐体細胞特異的Depdc5 KOマウスの胎生致死を確認した場合は、Creが発現する時期をタモキシフェン投与依存的に調節できるCreERT2マウス系統を利用し、致死を回避するとともに、Depdc5欠失の影響を経時的に検討する。小脳プルキンエ細胞特異的Depdc5 KOマウスは致死性は認められていないので、引き続き計画通りに実験を推進する。
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Research Products
(2 results)