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2016 Fiscal Year Annual Research Report

紀伊半島熊野灘沿岸地域諸方言のアクセント研究

Research Project

Project/Area Number 16H06784
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

平田 秀  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (60777613)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywords言語学 / 日本語方言 / アクセント / 三重県
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、紀伊半島熊野灘沿岸地域の諸方言について、アクセントのデータを現地調査により採録することで、アクセント体系の全容を明らかにすることである。同地域方言のアクセントについては、諸先行研究により早い段階で三重県北中部や和歌山県西部で話される方言とは系統を異にするものが数多く存在することが指摘されている。申請者は尾鷲市尾鷲方言についての網羅的な現地調査をすでに実施しており、その結果尾鷲方言は日本語アクセント類型論において非常に稀な特徴をもつことを明らかにした。本研究により、アクセントの系統論が形成されているにとどまり、その詳細が未解明のまま多く残っている同地域諸方言の共時的なアクセント体系を明らかにするとともに、同地域のアクセント類型論について、最新の見解を提示することを目指す。
本年度は、紀伊半島熊野灘沿岸地域諸方言について、アクセント上の特徴をもとに分類を行った金田一春彦 (1975) 『日本の方言―アクセントの変遷とその実相』掲載の地図をもとに、地点を選定して現地調査を実施した。同地域諸方言のアクセントの多様性をとらえることを目標に、金田一 (1975) で「尾鷲式」とされた尾鷲方言に対し、「型の区別の少い方言」とされた尾鷲市古江方言および「長島式」とされた三重県紀北町紀伊長島方言の現地調査を実施した。両方言ともに、尾鷲方言と大きく異なるアクセント体系をもつことを確認した。
申請者は、継続して尾鷲方言の記述研究も進めており、2017年9月には国立国語研究所にて開催された共同研究発表会にて、口頭発表「三重県尾鷲(おわせ)方言の助詞のアクセントについて」を行った。
また、申請者のもつ方言についてのデータを、方言話者の生活する地域社会に還元することを目指し、一般向けの読み物・音声ファイルを掲載したウェブサイト「アクセントの研究と尾鷲弁」を作成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、紀伊半島熊野灘沿岸地域諸方言のアクセントの多様性をとらえることを目標に、発表者がすでに大規模な現地調査を実施した尾鷲市尾鷲方言とアクセント上の特徴が大きく異なるとされる2地点(尾鷲市古江方言および三重県紀北町紀伊長島方言)で現地調査を実施した。申請者の実施した現地調査により、尾鷲方言は非常に複雑な「式」(文節全体の担う音調)の対立をもつことが明らかになっているが、今回現地調査を実施した両地点の方言は、現時点では式の対立が認められないと結論づけられた。
古江方言については、現時点で得られているデータからは、非常にアクセントの対立数が少ない方言であると言える。同市内の尾鷲方言が、アクセントの対立数が非常に多い特徴をもつことと対照的な結果であった。古江方言のアクセント体系の解釈にあたっては、今後追加調査を行う必要がある。紀伊長島方言については、単語に1箇所「下げ核」(拍が担うアクセント的要素)を設定することで解釈が可能なアクセント体系であると考えられ、尾鷲方言のもつ「式」の対立はみられなかった。
両地点ともに調査済みの語彙は限られており、今後データの拡充が必要な状況であるが、系統関係を明らかにすることに主眼をおいた先行研究を発展させ、現時点のアクセント体系のデータの取得に至った点で、一定の進展は得られたものと考える。

Strategy for Future Research Activity

本研究は今後、紀伊半島熊野灘沿岸地域諸方言のアクセントの類型論を形成することを念頭に置いて地点を選定し、現地調査を実施するものとする。
平成29年度は、申請者が大規模な調査データをもつ尾鷲方言と類似のアクセント体系をもつとされる方言の現地調査に着手する予定である。地点の選定は、金田一春彦 (1975) 『日本の方言―アクセントの変遷とその実相』に掲載の地図を参考に行う。尾鷲方言は、申請者の調査研究により、非常に複雑な「式」の特徴をもっていることが確認されており、尾鷲方言と類似の諸方言のアクセント体系を調査することで、尾鷲方言が複雑な特徴をもつに至った過程を推察できることが期待される。
また、必要に応じて本年度現地調査を行った、尾鷲方言と大きくアクセント上の特徴が異なる諸方言および尾鷲方言の現地調査を実施する。
その上で、調査データを得た複数方言を束ねる形での成果発表を目指すものとする。

Remarks

これまでに申請者が三重県尾鷲市内で実施した方言アクセントについての現地調査の結果をもとに、一般向けのウェブサイトを開設した。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 三重県尾鷲(おわせ)方言の助詞のアクセントについて2016

    • Author(s)
      平田秀
    • Organizer
      「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」研究発表会
    • Place of Presentation
      国立国語研究所(東京都立川市)
    • Year and Date
      2016-09-16
  • [Remarks] アクセントの研究と尾鷲弁

    • URL

      http://kishu.aa-ken.jp

URL: 

Published: 2018-01-16  

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