2016 Fiscal Year Annual Research Report
偏波合成開口レーダの高性能データ解析法システムの開発
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16H06799
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
尚 方 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (90779050)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,普遍性,実用性,情報多元性を考量しながら,多角的に偏波合成開口レーダデータ解析法を更に高機能化に推進することを目指す。当該領域の新世代データ解析法システムを構築するため,三つの研究内容がある。以下,各内容に対する研究実績をまとめる。
(1)自己組織化PolSAR データ解析法の開発:当該年度では,偏波度の最適化値を標準として,平均化計算用のウィンドウサイズの自己組織化及び人工物の判別用の対称性閾値の自己組織化手法の開発ができた。この二つのパラメータは重要な解析パラメータであり,自己組織化の実現は異なるセンサーのデータ間の融合・相補応用に重要な成果である。 (2)植生作柄監視に実用化可能なPolSAR データ解析法の開発:平成28年度10月では,ALOS-2データに合わせて,尾瀬ヶ原区域の現地調整ができた。当該季節に対する植物の種類,高度,枝葉密度,地表平坦度,および地表水分量等の情報を記録した。また,植生作柄監視用の教師あり四元数ニューラルネットの改良,および教師無し四元数自己組織化ニューラルネットの開発ができた。以上の調査情報及び成果に基づき,平成29年度では,実用化植物作柄監視手法に整合することができる。 (3)PolSAR データによる高精度「四次元」画像化方法の開発:ストークスベクトルに基づく偏波合成開口レーダのデータ解釈における座標回転の影響に関する成果ができた。四次元画像化手法は干渉SAR(InSAR)とPolSAR技術の融合である。干渉では,二つのデータの局所座標合わせというプロセスが必要なため,以上の成果はこの研究内容の基盤理論の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三つの研究内容に対する進捗状況は以下にまとめる。
(1)自己組織化PolSAR データ解析法の開発:この内容は計画通りに進んでいる。偏波度の最適化値を標準として,平均化計算用のウィンドウサイズの自己組織化及び人工物の判別用の対称性閾値の自己組織化手法の開発ができた。 (2)植生作柄監視に実用化可能なPolSAR データ解析法の開発:この内容に対して,平成28年度の計画は2回の現地調査である。人工衛星が取れたデータの観測時期に合わせるため,現地調査は1回のみを実施してきた。29年度では,現地調査を2回実施する予定である。現地調査の方はデータの原因のため,やや遅れているが,29年度計画の一部のニューラルネットワークの改良と開発が予定より大幅に早く完成できた。 (3)PolSAR データによる高精度「四次元」画像化方法の開発:この内容に対して,ストークスベクトルに基づく偏波合成開口レーダのデータ解釈における座標回転の影響に関する成果ができた。この結果に基づき,ストークスベクトル解析法をPolInSAR技術に導入することが可能になるため,計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
各研究内容に対する今後の推進方策については以下にまとめる
(1)自己組織化PolSAR データ解析法の開発:平成29年度では,異なるセンサーで取得したデータの融合利用手法を開発予定である。計画では,LバンドのALOS/ALOS2データ及びCバンドのRADARSAT2データを利用する予定だが,航空機搭載のPALSAR2のデータも取得できるため,人工衛星搭載データと航空機搭載データの融合も検討する予定である。 (2)植生作柄監視に実用化可能なPolSAR データ解析法の開発:平成29年度では,6月(植物の稚苗期間)と12月頃(植物の枯れる期間)に尾瀬ヶ原で現地調査を行う予定である。人工衛星搭載のセンサーは同じ区域にて観測周期があるため,尾瀬区域に対する適切季節で取れたALOS-2がない可能性がある。その場合,豊富なデータ量があるALOSデータを利用して,ALOS-2データの代わりに,研究を行う。 (3)PolSAR データによる高精度「四次元」画像化方法の開発:平成29年度では,ALOS-2データを用い,目標本体と被覆物の立体形状(3次元)および被覆物種類(1次元)を同時に表せる「四次元」画像化手法を開発する予定である。準備できたデータは中国の重慶区域であるが,目標の複雑度が非常に高いため,アルゴリズムの初期開発には不適切だという可能性もある。その場合,被覆物が単純である目標(例:富士山区域)を利用して,画像化手法を開発する。
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Research Products
(3 results)