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2016 Fiscal Year Annual Research Report

規制強化を行う環境保全型土地利用規制の効果に関する定量的分析

Research Project

Project/Area Number 16H06807
Research InstitutionNational Graduate Institute for Policy Studies

Principal Investigator

杉浦 美奈  政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (30784011)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywords土地利用規制 / 規制強化 / ヘドニックアプローチ
Outline of Annual Research Achievements

横浜市を対象としたヘドニックアプローチによる実証分析の結果から、規制強化型環境保全ルールは、①規制地区内の地価を上昇させるだけでなく、周辺地域にもスピルオーバーして地価を上昇させる可能性があること、②区画数が多いなどルールの策定過程における合意形成の取引費用によって効用最大化の実現が困難になる場合があること、③規制をかけてからの年数の経過により効用が下がるなど硬直性による非効率性が存在する可能性があること、が示された。
また、具体の規制手法について比較した結果、①建蔽率や容積率については、今回のケースでは、規制効果が確認できなかった。②壁面後退や最高高さ規制については、いずれも市場における評価が最も高くなる水準が存在する可能性が高く、直接外部性をコントロールしうる手法と考えられる。一方、取引費用が大きかったり、住民の合意形成過程において適切な情報が与えられなかったりする場合にあっては、必ずしもその水準を実現することはできないことが示された。③最低敷地面積については、小規模宅地のニーズのある地区においては供給戸数の減少をもたらし、大規模宅地を維持している地区においては敷地分割を許容することとなるなど、市場における評価が分かれることから、合意形成を図るのが最も難しい規制手法であると考えられる。このため、外部性コントロールについては、壁面後退や最高高さ規制などの規制で行う方が望ましいと考えられることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

先行的に分析を進めた横浜市における実証分析については、おおむね予定通りに実施できたところである。

Strategy for Future Research Activity

(1)推計モデルの修正…前年度のケーススタディ地区における分析を踏まえ、仮定した推計モデルの妥当性を検証し、説明変数やモデルの見直しなど、必要な修正を行う。
(2)より広範な地区における実証分析…修正した推計モデルを用い、より広範な地区(全国の政令市等のうち建築協定や地区計画の策定に積極的な自治体)を対象とし、規制強化型環境保全ルールの定量的な効果の実証分析を行う。
(3)規制強化型環境保全ルールの活用方法の基準化…実証結果に基づき、地区の特性ごとに、どのような強度でどういった内容の規制強化型環境保全ルールをかけるのが、地区内・地区外も含めた社会的に最適な環境を実現することになるのかを分析整理することにより、規制強化型環境保全ルールの活用方法について実務に適用可能な基準化を図る。整理の方向性としては、以下が考えられる。
①区域設定の考え方(フリーライダーへの対策)…新たに規制を導入しようとする際に、本研究で得られた推計モデルから規制の効果がスピルオーバーする範囲を予め予測し、その範囲を含むように区域設定する。
②規制の実効性、柔軟性からみた方向性…実効性の高い規制は規制の効果を高める要因となる一方、同じ規制を長くかけるなど硬直的な運用によって規制の効果を弱める可能性もある。そのため、実効性の高い手法を採用しつつも、定期に見直しを行う機会を設けるなどの柔軟な運用について検討することが必要である。
③具体の規制手法からみた方向性…容積率などの密度規制や高さ規制等の形態制限による効果を比較し、より効果の高い規制を選択するようにする。特に住民の意見のわかれる規制については、慎重に規制手法や適正水準を検討する。そのため、特に実効性の高い規制手法を選択する場合には、費用便益分析を実施して提出することを義務づけ、その内容を都市計画審議会等の公開の場で審議するようにするなども考えられる。

URL: 

Published: 2018-01-16  

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