2016 Fiscal Year Annual Research Report
コンディションナルノック法を用いたNna1の生理機能解析
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16H06812
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周 麗 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80568410)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | pcd / Nna1 / プルキンエ細胞 / 顆粒細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は運動中枢の一つであり、平衡機能と随意運動を司る。小脳には脊髄小脳変性症をはじめ沢山の難病が知られておりモデル動物の開発も盛んである。運動失調を主徴とするpcd (Purkinje cell degeneration)変異マウスの責任遺伝子はNna1であると知られてる。組織解析では、pcdマウスの小脳におけるプルキンエ細胞死と顆粒細胞死が見られた。Nna1の機能喪失はプルキンエ細胞死を引き起こす原因であると報告されているが、顆粒細胞死に直接に関係しているかは不明である。本研究は、小脳のプルキンエ細胞と顆粒細胞を対象にそれぞれNna1ノックアウトマウスを作出し、行動解析・組織解析・分子生物解析によりPcd病態を分析し、Nna1の機能喪失と顆粒細胞死との関係を明らかにする。 すでに、Nna1全身KOマウス(null)は得られている。null マウスでは、運動失調と小脳の縮小が見られた。分子層も顆粒層も薄くなってプルキンエ細胞の脱落も見られた。所見はpcdマウスと同様である。神経細胞死のメカニズムを分析するために、細胞死の指標であるcleaved caspase-3とBaxの発現を免疫染色で分析した結果、アポトーシス細胞はnullマウスのプルキンエ細胞層と顆粒細胞層にあることを明らかにした。Iba1の染色では、活性化されたミクログリア細胞がプルキンエ細胞層と顆粒細胞で顕著に増加することが明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nna1 nullマウスの解析は順調で予測通りに進行している。cKOマウスの繁殖も順調に進んでおり、行動解析と組織解析も随時できるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳のプルキンエ細胞と顆粒細胞のNna1ノックアウトマウス(cKO)を作製し、行動解析・組織解析・分子生物解析によりpcd表現型を調べ、Nna1の機能喪失と顆粒細胞死との関係を分析し、Nna1の欠失による神経回路への影響及びグリア系細胞の動態を明らかすることにより、Nna1の生理機能の全容とニューロンネットワークとの関係を解明することを目的としている。 cKOマウスの表現型を組織解析的な手法を用いて経時的に解析し、プルキンエ細胞および顆粒細胞の生死の状態を明らかにする。死が起こる細胞と起こらない細胞に分け、分子欠損が引き起こす細胞死に関する因子やERストレスに関与する因子の変化に着目し、野生型マウスの細胞と比較しながら検討する。活性化アストロサイトのマーカーであるGFAP、活性化ミクログリア細胞のマーカーに対する抗体を用いて活性化の状態を確認する。
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