2016 Fiscal Year Annual Research Report
尿プロテオミクスによる新規泌尿器癌バイオマーカーの探索と二次元早期診断法の確立
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16H06814
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 卓 新潟大学, 地域創生推進機構, 特任助教 (50776721)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 予防医学 / プロテオミクス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 尿プロテオミクスのための尿中タンパク質サンプル調整 不純物が多く含まれる尿より、高純度のタンパク質を精製するための技術を確立した。また、質量分析に用いるサンプル調整のためのワークフローも同時に確立した。これらは平成28年度の国際学会(HUPO 2016, Taipei, Taiwan)にて発表し、学術論文としても今年度中に発表を予定している。 2.尿プロテオミクスによる腎・泌尿器系疾患バイオマーカーの同定と検証 特定の疾患(慢性腎不全およびIgA腎症)において、これらの早期発見に利用できる新規バイオマーカーを尿中より数種類同定した。同定されたバイオマーカーに対して、臨床検体を用いた有用性の検証を行い、これら全てが早期発見、更には症状の進行度の評価に利用できることを確認した。これらの成果も学術論文および学会において今年度中の発表を予定している。 3. 臨床利用を見据えた尿バイオマーカー検出系の確立 本研究において同定されたバイオマーカーを対象とした、尿を検体とする慢性腎不全およびIgA腎症のスクリーニング検査の確立に着手した。早期発見という観点において、健康診断レベルの安易に受検できるシステムが求められるため、Immuno-SPR解析を用いた僅か1時間程度で結果を得ることができる検査系を大方確立した。これは精度やコスト面でも優れており、確定診断や症状の進行度評価に対しても利用できる可能性がある。今後はより多くの臨床検体の解析を行い、最終的な検査系確立に向けた整備段階に入る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
尿プロテオミクスのためのサンプル調整ワークフローと尿中バイオマーカー候補の同定においては、研究開始当初のスケジュールを大幅に上回り成果を得ることができた。また、検査系の確立においても、順調に進行しており、今後はより多くの臨床検体を用いた検証段階に入る。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、これまでに同定されたバイオマーカーを用いた検査系を確立する。本研究では、腎・泌尿器系疾患おける早期発見を目的地しているため、精度、コスト、時間という面を特に重視し、誰もが受検可能な検査の提供を目指す。また、該当検査系ではImmuno-SPR解析を用いているが、この解析の特性上、バイオマーカーを捉える抗体の精度が重要となるため、抗体の選定も同時に行う。更には、データ解析用ソフトや操作性向上のためのプロトコールの整備も行い、検査系全体をプラットフォーム化して提供できるような体制を整える。
第二に、更なる新規バイオマーカーの同定を目指す。これまでに確立した尿中バイオマーカー同定系は信頼がおける精度を備えているため、各種疾患患者の尿検体を用いてより多くのバイオマーカーの同定に向けた解析を進める。
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Research Products
(1 results)