2016 Fiscal Year Annual Research Report
矯正的歯の移動におけるプロスタグランジンI2に着目した疼痛メカニズム解析
Project/Area Number |
16H06818
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大倉 麻里子 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (50779634)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | プロスタグランジンI2 / PGIS / IP / TRPV1 / 矯正 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロスタグランジン(PG) I2 のレセプターである IP 受容体(IP)は、transient receptor potential cation channel subfamily V member 1 (TRPV1)の感作を介して末梢部での疼痛知覚に関与するとされるが、矯正的歯の移動時に生じる疼痛への関与に対する解析は申請者らの報告のみである。本研究は、歯の移動時におけるIP のTRPV1 を介した疼痛知覚メカニズムに着目し、closed coil spring による矯正力付与モデルラットを用いて、IP とTRPV1の関係を遺伝子工学的および免疫組織化学的に検索し評価しようとするものである。 平成28年度は上記の研究目的を達成するための端緒として、 PGI2の矯正時における詳細な挙動を確認するためにPGI2合成酵素 (PGIS)に着目した。 Closed coil springを装着し25g、100g、および 200gの矯正力を付与したモデルラットを作製し、矯正力付与後24時間における上顎第一臼歯頬側遠心根での圧迫側、あるいは牽引側に対する時空間的解析を、免疫組織学的手法を用いて行った。 その結果200gの力を付与した際に、上顎第一臼歯頬側遠心根の遠心側根尖部にPGISの強い陽性反応を認めた。一方でその他の部位に対しては同様の反応を認めなかった。さらに、25gおよび100gにおいても変化を認めなかった。以上の結果から、200g程度の力が付与された場合、歯根膜組織でPGIS活性が認められ、その結果、PGI2産生が増加している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矯正力を付与した場合の、ラット歯根膜組織におけるPGIS局在解析は本研究課題達成の基盤的部分であるため、これに関する検索を詳細に行った。そのため、次段階の検索がやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次段階の検索として、実験的歯の移動時における歯根膜に局所的なPGIS陽性反応を認めたため、その原因を探るツールとして有限要素解析を予定している。すでに有限要素解析によるラット臼歯の矯正的歯の移動予測や、応力集中部位とPGIS陽性反応の関連性について検索を進め、結果は得られつつある。その上で、さらにIP とTRPV1の反応についても免疫組織化学的および遺伝子工学的に検索し評価を行う予定である。 以上のように、課題達成のために段階的に検索を進めていく予定である。
|
Research Products
(2 results)