2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアのライソゾーム機能不全が自閉スペクトラム症発症に与える影響
Project/Area Number |
16H06829
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
朱 紅 金沢大学, 医学系, 博士研究員 (90778614)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | 自閉スペクトラム症 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症の発症過程においてミクログリア細胞のライソゾームの機能不全が関与するのか否かを明らかにするめに、モデル動物の作製を試みた。既報に基づいて、妊娠ラットにバルプロ酸を腹腔内注射するモデルを試みたが、流産のため新生児ラットを得ることができなかった。そこで、ウイルスRNAを模倣する合成二本鎖RNA化合物 (polyinosinic-polycytidylic acid: polyIC)を母体腹腔内に注射し、出生した仔ラットが神経発達障がいモデルになりうるかを検討した。並行して、妊娠マウスにリポ多糖 (lipopolysaccharide: LPS) を腹腔内注射し脳内炎症変化を惹起して出生したモデルラットも作成した。いずれのモデルでも仔ラットの出生に至った。polyIC、LPSを母体に注射して生まれた新生児ラットおよび正常ラットを4%パラホルムアミド溶液で灌流してから脳を取り出し、新鮮凍結切片を作製し、間接蛍光抗体法による組織染色を実施した。その結果、マクロファージ系免疫担当細胞のマーカーとされる糖タンパクgpnmb (glycoprotein non-metastatic melanoma b)陽性の細胞がpolyIC投与モデルで比較的多く認められた。これ以外の一次抗体として、抗LAMP-1抗体、抗cathepsin B抗体、およびミクログリアマーカーとしてのIba1抗体と抗CD11b抗体を使用したが、少なくとも現在までに上記モデルラットと正常ラットとの間に有意な染色性の変化は認められていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物行動実験が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物行動実験を開始するとともに、ウエスタンブロット法によるライソゾームの安定性試験を行う。まず新生児期の自閉スペクトラム症モデルラットおよび正常ラットから脳を取り出してホモゲナイズした後、ライソゾームとサイトゾル分画を得る。さらに、各分画をSDSポリアクリルアミド電気泳動にて分離し、常法によりウエスタンブロット法検出を行い、検出バンドを定量比較する。検出用の抗体として、抗LAMP-1抗体、抗cathepsin B抗体を使用する。また、定量比較用内部対照には抗GAPDH (glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase) 抗体による検出シグナルを予定している。
|