2016 Fiscal Year Annual Research Report
来談意欲を高める援助者のコミュニケーション:解明と実践
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16H06833
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 健史朗 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60781101)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 来談意欲 / コミュニケーション / カウンセリング実験 / 対人プロセス想起法 / 映像分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,相談者の来談意欲を高める援助者のコミュニケーションを解明することである。その際,援助者の言語的および非言語的コミュニケーションの両方を包括的に取り上げる。具体的には,①相談場面を録画し映像解析を行うことにより,援助者の言語的および非言語的コミュニケーションと相談者が評定した来談意欲との関連を統計的に明らかにする,②相談者に相談場面の映像を観て相談中の体験を振り返ってもらう対人プロセス想起法により,援助者のコミュニケーションが来談意欲へどのように影響を与えたのかという体験プロセスを質的に明らかにすることである。 そのため,平成28年度は,来談意欲を高める援助者のコミュニケーションを解明するために2つの手法を用いた研究を行った。まず,相談場面を録画した映像の解析によってコーディングされた援助者のコミュニケーションと相談後に相談者が評定した来談意欲との関連を統計的検定により検証した(研究Ⅰ-ⅰ)。次に,録画した映像を相談者に観てもらい,相談中の体験プロセスを対人プロセス想起法によりインタビューし,質的に考査した(研究Ⅰ-ⅱ)。これらの研究により,相談者の来談意欲と関連のある援助者の言語的・非言語的コミュニケーションが明らかになった。また,それらの関連が相談者のどのような体験プロセスから起こったのかについても明らかにすることができた。これらの知見は,援助者が相談者の来談意欲を高めるためにどのようなコミュニケーションを行えば良いか検討する上で,重要な知見になるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り,研究Ⅰ-ⅰ,研究Ⅱ-ⅱを実施することができたため,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Ⅰ-ⅰ,研究Ⅱ-ⅱを実施することができたが,その成果を報告することができていない。今後はそれらの結果をまとめて,論文や学会発表の形で報告することを目指す必要があるだろう。また,今年度は研究Ⅱ「援助者養成プログラム開発に向けた実践」の実施を予定しているため,その準備も進めていく必要がある。
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