2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06834
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
清水 宏幸 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80562446)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 文字式 / 中学校数学 / 文字の理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究の目的 中学校数学科において,文字式は,図形の論証とともに,学習指導の問題点が多い内容である。これまで国内外の中学校段階での生徒の文字式の理解についての研究では,多くの生徒たちのつまずきや誤りが報告されている。それらのつまずきや誤りのうち,数学の学習を経ることによって解消していくものなのか,それともそれを乗り越えるための教師の指導が必要なものなのかは,いまだはっきりと区別が付いていないのが現状である。また,その額h数の途中に現れるつまずきや誤りに対する有効な指導法などが明確になっていない。 そこで,本研究の目的は,文字式を活用する場面である方程式の利用の学習指導に焦点を当て,生徒の文字や文字式に対する理解の困難性を顕在化させることにある。さらに,その困難性を克服するための学習指導の在り方について提案することにある。 2.昨年度の研究実績の概要 9月から12月までに先行研究の洗い出しを行った。特に,1978年に行われたイギリスのCSMSの研究グループが行った代数テストの結果を分析したKuchemannの論文を詳細に分析した。この分析を基に,日本で平成19年度から行われている全国学力・学習状況調査の問題についてその結果を分析した。10月には,弘前大学で行われた日本数学教育学会秋期研究大会にてこれまでの研究について口頭発表を行った。これらのことをもとにして,12月から3月にかけて,本調査で実施を考えている調査問題を開発し,東京学芸大学の先生のアドバイス等をいただき,現在,実施のための準備を整えている。今後,甲府市内の中学校2校に在籍している2,3年生約200名ずつを対象に質問紙調査を行い,その調査から解答状況をみて,インタビューを行う生徒を特定し,その生徒1人ずつにインタビュー調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度末に質問紙調査を行いたかったのであるが,調査問題の精度を高めるために,今年度に調査を送ったので,やや計画より遅れている状態であるが,今年度1年間で,調査を実施し,その分析を終え,研究の成果をまとめることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
<本年度の研究実施計画について> 5月~7月 実態調査(質問紙調査)及び質問紙調査から選んだ生徒を対象にインタビュー調査の実施,8月~9月 生徒の発話の分析により生徒の文字式の理解の困難性の顕在化 日本数学教育学会秋期大会発表予定,10月~11月 課題克服のための授業の構想,提案,12月~1月 実践授業 授業のプロトコルおこし 授業分析報告書の作成 日本数学教育学会誌へ投稿 3月まで 研究全体のまとめ 報告書作成 <成果の取りまとめ> 昨年度までの研究で,本研究で着目する生徒の文字に対するミスコンセプションの1つを特定した。このミスコンセプションの実態を質問紙調査に加え,インタビュー調査により顕在化し,論文にまとめる。さらにこのミスコンセプションを解消するための学習指導の提案を行い,これらをまとめて報告書を作成する。
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