2016 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化応答性人工蛋白質ナノブロック開発と自己組織化ナノ構造形成ダイナミクス解析
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16H06837
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 直也 信州大学, 繊維学部, アソシエイト研究員 (60781945)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 人工蛋白質 / 蛋白質ナノブロック / 自己組織化 / 環境応答 / ダイナミクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人工蛋白質の環境変化に応答した会合状態及び構造の変化を詳細に調べることにより、ダイナミックに構造変化する環境変化応答性人工蛋白質を設計開発すること、さらにそれらの環境変化応答性人工蛋白質を蛋白質ナノブロックとして応用し、自己組織化ナノ構造形成のダイナミクスを解析することを目的とする。特に、pH変化に応答する人工蛋白質や蛋白質ナノブロックの設計開発及び解析に取り組むことにより、環境変化に応答するナノ構造空間の創製及び制御を目指す。 平成28 年度 は 人工蛋白質のpH 変化に対する応答性を調べるため、低pH条件・中性pH条件・高pH条件のそれぞれの溶媒条件に調整した人工蛋白質についてゲルろ過クロマトグラフィー(SEC)、小角X線散乱(SAXS)、円偏光二色性(CD)スペクトル解析、熱変性解析、超遠心分析(AUC)を行った。その結果、低pH条件において、ゲルろ過溶出体積が大幅に変化し、変性中点温度の低下を確認した。一方で、CDスペクトルの形状と強度には低pH条件と中性pH条件の間で大きな変化が見られず、SAXSとAUCによる分子量解析からも会合状態に変化は見られなかった。 この人工蛋白質を蛋白質ナノブロックの構成要素として応用し、形成されるナノ構造体のpH変化に対する応答性をnative PAGEとゲルろ過クロマトグラフィーにより調べた。その結果、低pH条件から中性pH条件へと溶媒条件を変化させることにより、ナノ構造体が再構成されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究実施計画の通り「環境変化応答性人工蛋白質の設計開発」を実施し、pH環境変化に応答してナノ構造体を再構成させることができる人工蛋白質及び人工蛋白質ナノブロックの開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29 年度は、研究実施計画の「 (2) 人工蛋白質ナノブロック自己組織化ナノ構造形成のダイナミクス解析」として、会合平衡状態にある人工蛋白質のpH変化に応答した分子形状変化を詳細に調べるため、ゲルろ過-小角X線散乱(SEC-SAXS)解析を行う。さらに、円偏光二色性スペクトル実験による蛋白質二次構造解析を行い、SEC-SAXSの結果を組み合わせることで、環境変化応答性人工蛋白質のpH変化応答性構造形成ダイナミクスを達成する。
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Research Products
(13 results)