2016 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジカル半金属における新奇トポロジカル量子現象の理論的研究
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16H06861
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 伸吾 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (40779675)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / 異方的超伝導体 / ラインノード半金属 / トポロジカル相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、トポロジカル半金属の物性をトポロジーや群論の観点から研究することが目的である。H28年度では、(1)非共型対称性を持つ超伝導体におけるラインノードの安定性と(2)ノード半金属のトポロジカル量子相転移の分類を研究を行った。以下それぞれの研究課題における成果の述べる。 (1)の研究では、非共型対称性を持つ超伝導体中のノードのトポロジカル安定性に関する一般的な理論を構築することに成功した。一般論を構築する際、ブリルアンゾーン境界における対称操作間の交換関係の変化が重要な役割を果たしていることを明らかにした。この理論をUPt3の超伝導体中の線ノードに適用し、それが非共型対称性とトポロジーにより保護されていることを解明した。この研究はアメリカ物理学会誌:Physical Review Bに受理された。 (2)の研究では、複数のバンド交差線(多重ラインノード)を群論の観点から分類した。その結果、点群中のミラー対称性の数がラインノードの本数に対応していることを明らかにした。また、興味深いことに多重ラインノードはラインノードの本数に応じてスピン軌道相互作用を通してディラック半金属やトポロジカル半金属へ転移することも明らかにした。この研究は現在Physical Review Bへ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトの発足当初は、通常のラインノード半金属のトポロジカル相転移の分類に焦点を当てる予定であった。しかし、名古屋大学理学部の山川氏や山影氏の協力もあり、多重交差ラインノード半金属という新しいトポロジカル相へ研究を広げることができた。結果として、多重交差ラインノード半金属における豊富なトポロジカル相転移現象を発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究計画に書いてあるように、立方対称性を持つディラック半金属におけるトポロジカル超伝導性を研究する予定である。研究方法は、スピン3/2を持つ電子系のおける有効ハミルトニアンからスタートし、可能なクーパー対の表現を導出、超伝導ギャップ構造を解析、トポロジカル数の計算を行いたいと考えている。 (2)ラインノード半金属からワイル半金属への相転移に関し、H28年度の研究をより掘り下げたいと考えている。研究方法は、先行研究に時間反転対称性を破るような摂動も加え、可能なワイル半金属相を探索したいと考えている。
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