2016 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的連鎖移動機構に基づくカチオン重合を用いた多重構造制御
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16H06863
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内山 峰人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10779680)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子合成 / リビング重合 / カチオン重合 / 立体特異性重合 / 高分子構造・物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カチオン重合における多重構造制御を目的として、可逆的連鎖移動機構に基づく分子量制御に、他の方法による構造制御を組み合わせることで、高分子構造の同時制御可能な新規精密カチオン重合系の開発を行った。本年度は、(1)立体特異性リビングカチオン重合を組み合わせることで立体規則性と分子量を同時に制御する立体特異性リビングカチオン重合系の開発と (2)可逆的連鎖移動に基づくラジカルRAFT重合と組み合わせることで、星型高分子や多分岐高分子などの特殊構造高分子の合成について検討を行い、以下の成果を得た。 (1)では、t-ブチルビニルエーテルやベンジルビニルエーテルなどの嵩高い置換基を有するモノマーの立体特異性カチオン重合に対して、カチオン重合において可逆的な連鎖移動剤として有効であるチオエステルを用いることで、分子量分布は若干広いものの、分子量と立体規則性が同時に制御された立体特異性リビングカチオン重合が進行することがわかった。 (2)では、カチオンRAFT重合で得られた生長末端にチオエステル基を有するポリマーに対して、剛直なスペーサを有する種々のジビニル化合物を用いてカチオン或いはラジカルRAFT重合によるリンキング反応を行うことで、星型高分子が高収率で合成可能であることがわかった。とくに、カチオン重合性部位とラジカル重合性部位を有するジビニル化合物を用いて、カチオンRAFT重合からラジカルRAFT重合へと順次、選択的に反応させることで、非常に高収率で星型高分子を合成可能な本重合系に特徴的な合成手法を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目的とした研究いずれも順調に進行し、良好な結果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に引き続きカチオン重合における多重構造制御を目的として研究を行う。まず、本年度見出しつつあった嵩高いモノマーを用いた立体特異性カチオン重合と可逆的連鎖移動に基づく分子量の制御を組みあわせた立体特異性リビングカチオン重合系について、連鎖移動剤の構造や重合溶媒、重合温度などの重合条件が分子量の制御や立体構造に与える影響について詳細な検討を行う。上記に加えて、ルイス酸触媒や対アニオンの設計による立体特異性カチオン重合においても、可逆的連鎖移動剤を用いた分子量の制御を組みあわせることで、さまざまな置換基を有するビニルエーテルに適応可能な汎用性の高い立体特異性リビングカチオン重合系の開発についても検討を行う。 さらに、これらの重合系において、リビング重合の特徴を活かし、立体構造の異なるセグメントからなるステレオブロックポリマーの合成にも展開する。また、得られたポリマーの立体構造と分子量が熱物性に与える影響について詳細な解析を行う。
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Research Products
(6 results)