2016 Fiscal Year Annual Research Report
線維細胞に着目した同種造血幹細胞移植後臓器線維化メカニズムの解明と制御法の開発
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16H06873
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊野 和子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (60775568)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 慢性GVHD / 臓器線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
同種造血幹細胞移植は、難治性血液疾患に対する根治的治療法であるが、臨床的重要な課題として移植片対宿主病(Graft-vs-Host Disease, GVHD)がある。急性GVHDは、ドナー免疫系による同種免疫反応が病態の主体であるのに対し、慢性GVHDは、臓器・組織線維化が主体となり、患者の生活の質を低下させる要因となるが、その発症機序については、未だ不明な点が多い。本研究では、組織線維化に関与する筋線維芽細胞の前駆細胞となる線維細胞に着目し、慢性GVHD患者における臓器線維化メカニズムを、ヒト慢性GVHDに類似したマウスモデルおよび臨床検体を用いて解明し、その制御法の開発を目指している。 GVHDマウスモデルを用いた検討では、GVHD標的臓器を摘出・固定するとともに末梢血を採取し、フローサイトメトリーにより、リンパ球などの免疫細胞、線維細胞の前駆細胞とされる単球、および線維細胞の測定を行っている。GVHD標的臓器は、各種染色により構造変化およびコラーゲンの蓄積を解析している。現在まで、これらマウスモデルを用いて確認を行い、詳細な検討を継続中である。 臨床検体を用いた検討では、倫理審査委員会の承認を得た上で、三重県内の検体の蓄積とあわせて、国立がん研究センター中央病院との共同研究体制を構築し、移植患者末梢血中の単球および線維細胞を継時的に測定し、検討を行っている。また、血漿中の液性分子についてもELISA法により測定を行い、ヒト同種造血幹細胞移植症例における末梢血単球、線維細胞と組織線維化との関連を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GVHDモデルマウスを用いた検討では、移植後組織線維化モデルとして、腫瘍組織適合抗原一致モデルが三重大学で確立しており、このモデルマウスを用いて、末梢血およびGVHD標的臓器内でのドナー由来細胞の検討を行っている。末梢血及びGVHD標的臓器内でのドナー由来細胞は、コンジェニックマウスあるいはEGFPトランスジェニックマウスをドナーに用いて、各種細胞特有のマーカーとの共染色により追跡可能となっている。また、臨床検体を用いた検討においても、三重県内の移植症例の蓄積とあわせて、移植症例数の豊富な国立がん研究センター中央病院との連携も行うことで、さらに多くの症例数の蓄積を行い、これら検体において、末梢血中の単球、線維細胞を、フローサイトメトリーにて確認を行うと伴に、各種液性因子についてもELISA法を用いて検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、GVHDモデルマウスを用いた検討では、さらにマウス検討数を増やすとともに、各種免疫染色の追加、フローサイトメトリーを用いた検討を継続し行うことで、移植後組織線維化メカニズムについて、さらに詳細な検討を予定している。 また、臨床検体を用いた検討においても、さらに症例数を蓄積して確認を継続することで、移植後慢性GVHDの発症と臓器・組織線維化の検討を継続し、この制御機構についても解析を行っていくことを予定している。
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