2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 健人 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (40779146)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ファノ多様体 / K安定性 / 極小モデル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
与えられたファノ多様体がいつK安定かどうかを明示的な方法で調べられるような一般論を構築することを目的とする。ファノ多様体のK安定性は、ケーラー・アインシュタイン軽量の存在問題と同値な問題であることが知られ、代数幾何・複素幾何に於いて重要な問題である。まず一つには、Berman氏によって導入された「Gibbs安定性」を、正標数のテクニックを用いて計算しよういう試みがある。これについては至る所で講演、議論などを通し、鋭意考察中である。また、私とLi氏によって独立に得られた「付値安定性」という、K安定静と同値な概念をより洗練し、具体的なファノ多様体に応用しようという試みがある。これについては今年度様々な進展があり、複数の論文にすることに成功した。具体的には、Tian氏によって導入されたα不変量と付値安定性の関連を、きわめて精密な形で得ることに成功し、特にこれまでK半安定しか知られていなかった多くのファノ多様体が実際にK安定であることを証明できた。また、極小モデル理論にて重要な、Shikurov氏やProkhoov氏などによって多く研究されている「PLT爆発」の言葉を用いて、K安定性(というか付値安定性)を言い換えることに成功し、これにより多くの具体例への応用を得た。特に、射影平面のK半安定性は、純代数的な証明としては非常に簡単かつ純双有理的な別証明を得ることに成功した。これら今年度得られた二つの結果は、いずれも発表し、受理済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、Tian氏によって導入されたα不変量と「付値安定性」との関係性を詳細に論じ、それにより多くのファノ多様体のクラスがK安定であることを証明することができたことは特筆すべき進展であると思われる。また、「付値安定性」を「PLT爆発」という極小モデル理論の言葉で言い換えることができたことも重要で、特に曲面(特異デルペッツォ曲面)に対し多く応用できるのではないかと思われる。「Gibbs安定性」の簡略化・詳細な理解については現在構想段階であるが、今後の課題の一つとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
私とLi氏によって導入された「付値安定性」については、一般論としてはほぼ満足のいく最終形を得ることができたのではないかと思っている。今後は、この理論を(ファノ超曲面のような)非常に具体的なファノ多様体に対し、どのように計算・評価していくのか、という点が大きな問題点の一つである。双有理剛性の理論などで蓄積された、超曲面上の因子の特異性を計るテクニックを如何にして付値安定性に応用していくかを、今後の研究の推進方策の一つとしたい。
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