2016 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of organometallic reagents through decarbonylation of esters
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16H06887
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野木 馨介 京都大学, 理学研究科, 助教 (60779148)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 脱カルボニル / 亜鉛化 / ホウ素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
エステルを出発物質とする脱カルボニルを伴った有機金属化合物の触媒的発生法を開発することを目的とし、検討を行なった。 C-O結合の切断と、続く脱カルボニル過程が知られるフェニル安息香酸誘導体を用い、ボリル化の検討を行なった。しかしながら研究を遂行する中で、他の研究グループから同様の反応が報告された。そこでさらに難度の高いラクトン類の開環と脱カルボニル化を伴うボリル化反応開発に取り組んだ。 ラクトン類に対する脱カルボニルを伴うホウ素化反応が達成できれば、ホウ素を分子内に組み込んだオキサボリン誘導体の迅速合成が可能となる。ホウ素を環内部に有するオキサボリンやアザボリンは優れた光・電子物性を示すヘテロ芳香族化合物として近年注目されている一方、その合成法については未だ発展途上にある。ラクトンやラクタムなどの入手容易な出発原料から含ホウ素環状化合物の一段階合成が達成できれば、医農薬や材料化学の分野のさらなる発展に十分寄与すると期待できる。 現状では望みの反応を進行させる条件を見いだすことはできておらず、今後さらなる条件検討が必要である。 一方、同研究を行う過程で、アリールスルホキシドのC-S(=O)結合に対するボリル化反応がパラジウム触媒を用いることで進行することを見いだした。スルホキシド類は有用な合成中間体であるが、そのボリル化反応はこれまで一例しか報告がなく、また収率も低くとどまっていた。スルホキシドを起点としたものづくりに対して貢献できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラクトンを出発原料とする脱カルボニルを伴う有機金属化合物の触媒的発生法の開発を目指し、触媒系の検討を行なっているが、現状では望みの反応を達成できる触媒系を見いだすことはできていない。 一方、同研究を行う過程で見いだした、アリールスルホキシドのボリル化については研究成果をまとめ、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の問題点はラクトンのC-O結合を切断しうる強力な触媒系を見いだせていない点である。今後はまず、電子吸引性置換基などの活性化基を有する出発原料を用いることで、ホウ素化や亜鉛化反応を実現するべく研究を展開する。
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