2016 Fiscal Year Annual Research Report
炭化珪素バイポーラトランジスタのデバイス特性モデル化と高周波電力変換回路の製作
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16H06890
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 貴史 京都大学, 工学研究科, 助教 (00783036)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 炭化珪素 / バイポーラトランジスタ / デバイスモデリング / 電力変換回路 / 高周波動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではSiCバイポーラトランジスタを用いて高周波動作可能な電力変換回路の実現を目指している.本年度では,(1) 高周波電力変換回路を設計するための回路シミュレーション環境の構築,および(2) 高周波スイッチングを可能にする駆動回路の製作を行った. まず,1 MHzをこえる高周波電力変換回路においては,高速な電流変化がサージやリンギングを発生させ問題となるため,これらを精度よく計算するための回路シミュレーション環境を構築する必要がある.そこで,半導体のデバイスモデルが確立されつつあるSiC MOSFETを用いて,昇圧回路におけるスイッチング波形を考察した.その結果,受動素子の寄生成分や,回路パターンの寄生インダクタンスを適切にモデリングすることにより,5 MHzという高周波領域においても昇圧回路のスイッチング波形を回路シミュレーションにより再現できることを報告した.また,駆動周波数が向上してきたことにより,実験回路のスイッチング波形を取得する精度についても重要であり,大電力を扱う電力変換回路に適した遅延校正手法を提案した. 次に,高周波スイッチングを実現するための駆動回路に注目した.従来用いられるSiをベースとした駆動回路であれば1 MHz以上で動作させた場合に発熱のため熱暴走する可能性がある.そこで,GaN HEMTのプッシュプル回路を用いた駆動回路を用いた.駆動周波数を制限している要因を解析し,適切な動作条件を与えることで20 MHzの高周波動作を実現することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は高周波電力変換回路を設計するシミュレーション環境を構築した.現在の電力変換回路の駆動周波数は10-100 kHz程度であり,1 MHz以上の高周波電力変換回路を精度よくシミュレーションするためには工夫を要した. また,当初では翌年度に予定していた駆動回路の製作を本年度から開始した.従来の駆動周波数の限界を大幅に更新する駆動回路の製作に成功し,上記回路シミュレーション環境の構築とあわせて,高周波電力変換回路実現のための要素技術の検討が順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度末よりSiCバイポーラトランジスタのデバイスモデリングを進めており,これを回路シミュレーション環境に組み込む.また,本年度に製作した駆動回路を改良し,バイポーラトランジスタの高速駆動を試みる.これらを総合し,SiCバイポーラトランジスタを用いた高周波電力変換回路の実現を目指す.
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Research Products
(7 results)