2016 Fiscal Year Annual Research Report
高木および高齢木の水分生理学的適応様式の解明:貯水・通水機能の組織と役割
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16H06894
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 若菜 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 特定助教 (20780761)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 水分生理 / 貯水 / 組織構造 / 高木 / フタバガキ科 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、樹木は高木になるほど根から梢端までの水輸送が物理的に困難となり、梢端部は慢性的な水不足に陥りやすいと考えられてきた。しかし近年、いくつかの針葉樹高木種において梢端部ほど葉の貯水能が高くなることが明らかとなり、水輸送の困難さが補償されていることが示唆されている(Ishii et al. 2014; Azuma et al.2016;Chin and sillett. 2016)。 東南アジア熱帯雨林には突出木が出現するが、マレーシアのパソ森林保護区内に生育する樹高40mほどのフタバガキ科Dipterocarpus sublamellatusには、同一林冠樹種とは異なる高所での特有の給水システムの存在が示唆されていた(福井ら2007)。D. sublamellatusの葉はふくらんだ葉柄をもつことから、蒸散や光合成など水分要求の高い葉に近い場所での貯水・給水システムの可能性を推測し、葉の水分生理学的評価および組織構造の観察を行った。 その結果、D. sublamellatusの葉は高い貯水能を示し、水ポテンシャルは枝では夕方にかけて低下したものの、葉では低下しなかった。また、葉柄の含水比は1日を通して葉身よりも高かった。このことは、D. sublamellatusの葉柄が貯水タンクとなって葉における蒸散などの水分要求度に応じた一時的なインバランスを補償しており、高所の葉への水輸送にかかる負荷を緩和する役割をもつことを示唆している。一方で、幹の木部貯留水の寄与はみられなかった。葉柄の組織構造は皮層が厚く、これが外観におけるふくらみを形成しており、葉柄の高い含水比に寄与していると考えられる。これらの研究成果によって、熱帯高木種D. sublamellatusに特有な高所における給水システムの実態が明らかとなってきた。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(2 results)