2016 Fiscal Year Annual Research Report
混合型肝癌の発生機序の究明-肝前駆細胞の増殖のみに依存したマウス肝切除後の肝再生
Project/Area Number |
16H06904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 直也 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70783249)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 肝再生 / 肝癌発生 / 肝前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性肝癌は主に肝細胞癌と胆管細胞癌に大分されるが、これら両者の性質を併せ持つ混合型肝癌や、免疫組織学的に由来組織ではない組織のマーカー(CK19, AFP)を発現するものがあり、混合型肝癌の予後は不良である。 本研究では、成熟肝細胞の増殖が阻害された遺伝子改変マウスを用い、幼若な肝前駆細胞の自己増殖及び分化のみに依存した肝切除後の肝再生を検証する。またこのマウスは肝腫瘍を形成することが報告されているが、この原因を肝前駆細胞の過度の自己増殖によるものと仮説を立てた。 このマウスの肝部分切除によって促進される肝再生、腫瘍形成及び、肝腫瘍の病理学的性質について検証することで、混合型肝癌の発生機序を明らかにすることができると期待される。 筆者は前研究施設で同じマウス(DDB1flox/flox;Alb-Cre)を入手し、DDB1免疫染色により、DDB1陽性細胞が門脈域に存在することを確認した。一方Ddb1のノックアウトによる細胞死が、増殖中の細胞にのみ現れることを先行の実験で確認しており(未発表)、このDdb1ノックアウト肝中のDdb1陽性細胞は、Alb陰性の肝前駆細胞が分裂増殖した後にAlb陽性細胞に成熟したものと考えている。 今年度、Ddb1flox/flox; Albumin-Creマウスを前職のUniversity of North Carolina in Chapel Hill, Lineberger Cancer Center, Xiong Lab.とMTAを締結し、入手することができた。現在京都大学医学部附属動物実験施設でSPF化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、Ddb1flox/flox; Albumin-Creマウスを前職のUniversity of North Carolina in Chapel Hill, Lineberger Cancer Center, Xiong Lab.とMTAを締結し、入手することができた。 先方の研究所での遺伝子改変マウスの交配、ジェノタイピング、マウス病原体のスクリーニング、MTA締結までの手続きに時間を要し、マウスが入手できたのが平成29年3月になった。 現在、入手した2頭のマウスは京都大学医学部附属動物実験施設でSPF化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスの樹立に時間を要するため、それまでの間は野生型マウスを用いて予備実験を行う。 野生型マウスに肝切除を加え、再生様式の評価に最適な条件を検討する。具体的には、数匹の野生型を用い、安全に術後生存が得られる最大肝切除容量を決定すべく、30-70%肝部分切除を行い周術期の安全性を確認する。肝切除後1-4週間後にマウスを犠死させ、肝臓を摘出する。標本は適宜切り分け、①病理組織学的解析用(ホルマリン固定および凍結切片用に埋包・凍結)、②タンパク解析用(凍結)、③遺伝子解析用(凍結)に保存する。 免疫染色はDDB1, VprBP等のノックアウト遺伝子、AFP, CK19等の肝前駆細胞マーカー、Ki67, pHH3等の細胞増殖マーカーについて行う予定である。
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