2017 Fiscal Year Annual Research Report
Computational modeling of thrombus formation in coiled cerebral aneurysms
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16H06917
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大谷 智仁 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40778990)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / コイル塞栓術 / 数値流体計算 / 直交格子法 / 計算バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に構築した,コイル塞栓された脳動脈瘤内における血流解析のための計算フレームワークを用いて,瘤内のコイルの局所的な充填率の違いが血流の滞留度合に与える影響について検討した.脳動脈瘤患者のCT画像をもとに作成した2例の脳動脈瘤形状に対し,コイル挿入の数値シミュレーションを複数回実施し,各症例について50例の異なるコイル分布形状を得た.挿入するコイルは全例について同一のものとし,コイルの充填率が臨床において適切な値の範囲 (>25%) となるよう設定した.この全例について直交格子法を用いた数値流体計算を行い,コイル塞栓後における瘤内の血流場を得た. 脳動脈瘤内における血流の滞留度合を評価する流体力学的指標として,コイル塞栓前後における瘤内血流の運動エネルギの変化率に着目した.局所的なコイル充填率として,瘤と母血管との境界面から0.5 mmずつ区間を分割した各領域におけるコイルの充填率を求め,この値と瘤内血流の運動エネルギの変化率を比較した.結果として,母血管からの距離が0-0.5 mmの領域において,局所的なコイル充填率と瘤内血流の運動エネルギ変化率には有意な負の相関が生じ,この傾向は,瘤のネック部から中心部に近づくにつれて小さくなった.この結果は,コイルが密に充填されている場合でも,ネック領域におけるコイルの留置が不十分であれば,瘤内の運動エネルギが十分に減少せず,瘤全域の血栓化,ひいては長期間の瘤塞栓が達成されない可能性を示唆している.今後はさらに平成28年度に構築した血栓形成の現象論的モデルを血流解析へ組み込むことで,コイル留置による瘤内血流の滞留から血栓化,最終的な塞栓に至る一連の機序を表現できる.以上より,本研究では脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療機序を説明する計算フレームワークを構築し,その有用性を示すことに成功した.
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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