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2016 Fiscal Year Annual Research Report

パーリ聖典における梵我一如思想の併存

Research Project

Project/Area Number 16H06919
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

名和 隆乾  大阪大学, 文学研究科, 助教 (20782741)

Project Period (FY) 2016-08-26 – 2018-03-31
Keywords梵我一如 / 初期仏教 / brahman / パーリ聖典
Outline of Annual Research Achievements

本年度は,本研究を進める上で必須となる,パーリ聖典におけるbrahman-の用例(全約5000例)の収集,読解,整理を進めた.また,仏典に限らず,ヴェーダ文献,ジャイナ教文献,マハーバーラタ等の文献におけるbrahman-について論じられた国内外の主要な二次文献を収集した.
本年度の研究の中間報告として,人文科学研究所(京都大学)の進める研究プロジェクト「ブラフマニズムとヒンドゥイズム」の定例研究会において,「初期仏典における梵我一如の併存」と題した研究発表を行った(2017年1月20日,於人文科学研究所,京都大学).この発表では,パーリ聖典中に,仏教側の主張する梵我一如思想と,バラモン側の主張する梵我一如思想とが併存していること,仏教側がバラモン側のその思想を,「改変なし」にそのまま自分たちの修行体系の「途中に」取り込んでいる,つまり,バラモン側の主張をその通りに認めつつ,かつ,仏教側は自分たちの修業体系の優位性を保持していることを指摘した.
申請者は初期仏教を専門とするが,上記プロジェクトの主な参加者は,ヴェーダやヒンドゥー文化の研究者である.ここでの発表を通じて,異分野間で最新知見を共有する機会を得た.また,この様に異分野間で学術的交流を行う際に注意すべき様々な課題が明確になったことも,本研究の様な(インド学内での)学際的研究を進める上で大きな収穫となった.なお,この発表が契機となって,同プロジェクトにより開催されるシンポジウム(2018年9月末頃)に登壇し,更なる成果を発表させて頂くことになった.また,現在定期的に開催されているジャイナ教律文献研究会へ参加し,そこでの交流を通じて,ジャイナ教におけるbrahman-の用法について多くの示唆を得た.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「研究実績の概要」で述べた様に,brahman-の用例は,パーリ聖典には約5000例存在する.その用例数ゆえに収集だけでも多くの時間を要する.しかし,報告者は本研究と関連する研究を先に行っており(「パーリ聖典における四無量心の予備的研究: 四無量心と涅槃の関係について」『真宗文化』25, pp. 1-21),その際からbrahman-の用例収集に着手していた為,収集作業は本年度内に完了し得た.現在は読解,整理を進めている最中である.この作業も,次年度夏頃の完了を予定している.
また,本研究を進める上で,「研究実績の概要」に挙げた仏教外分野におけるbrahman-の用法を知る必要がある.これについては,二次文献の渉猟や,「研究実績の概要」に述べた異分野の研究者らとの情報交換により,充分な情報を得ることが出来た.ただし,この情報の多くは,あくまで,二次文献や異分野の研究者といった媒介を通じた情報である.本来であれば,自ら各分野の原典を参照せねばならない.可能な限り,主要例に関しては直接原典を参照する様努めているが,参照し得ていない原典も少なくない.その理由は,パーリ聖典におけるbrahman-の用例だけでも約5000例も存在する為である.今後も仏教外分野の原典参照は可能な限り継続するが,基本的に,本研究ではパーリ聖典における用例を徹底的に調査することに集中し,異分野における用例の本格的な渉猟は,本研究完了後,改めて行うことにしたい.

Strategy for Future Research Activity

次年度も,基本的には本年度同様,パーリ聖典中のbrahman-の読解・整理,各研究会における発表や参加による情報収集を行う.ただし次年度は特に,仏教分野を中心に研究発表を行う.これにより,本年度得た仏教外分野におけるbrahman-の用法に関する最新知見を仏教分野に持ち帰って学界を裨益し,かつ,仏教文献の専門家から本研究への批判を受け,研究精度を高めたい.
また,最終年度となる次年度中に,パーリ聖典中のbrahman-の用例表を,電子媒体で公開したい.パーリ聖典には一応コンコーダンス(F. L. Woodward et al. (eds.), Pali Tipi.taaka.m Concordance, 3vols., Oxford: The Pali Text Society, 1991-1993)が存在するが,brahman-より相当前の語で,未完のままプロジェクトは終了してしまった.brahman-という語は,仏教に留まらず他の様々な古代インド文献において重要な位置を占める.申請者による用例集の公開は,専門家にとっても骨の折れる膨大な用例数の俯瞰視点を供する点で,仏教分野に限らず広く斯学に利益をもたらすことになる.今のところ,用例集の公開の場としては,Academia.edu等の既存の論文共有サイトの使用を予定している.必要な機能が備わり,独自のサイトを運営するコストも掛からない為である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 初期仏典における梵我一如の併存2017

    • Author(s)
      名和隆乾
    • Organizer
      京都大学人文科学研究所・共同研究プロジェクト「ブラフマニズムとヒンドゥイズム」定例研究会
    • Place of Presentation
      京都大学人文科学研究所
    • Year and Date
      2017-02-20

URL: 

Published: 2018-01-16  

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