2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06925
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 信義 大阪大学, 社会経済研究所, 講師 (40775847)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 教育の効果 / 政策評価 / プログラム評価 / ミクロ計量経済学 / セミパラメトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミクロ計量経済学の方法による、教育が賃金などの将来の成果に与える因果効果に関する研究である。併せて、教育機会の地域的不平等に対する政策的介入の効果のシミュレーション分析も行う。 初年度である今年度は、大学進学が将来の賃金に与える因果効果について分析した。また、出身都道府県の大学入学定員増員率や公立大学の学費の減額の割合を変えるといった、反実仮想的な教育政策介入の効果に関するシミュレーション分析も実施した。分析手法は、学費、入学定員、労働市場条件を操作変数として使ったプログラム評価法である。具体的には、大学進学機会拡大政策として、入学定員増員や学費減額を考え、その介入の程度の変化によって潜在的な大学進学確率を推定した。そして、大学進学確率の限界的な変化に対応した因果効果を推定し、その重み付き平均として反実仮想的な政策効果を推定した。 分析の結果、大学進学は、平均的には賃金を上昇させることを示した。また、大学進学確率を上昇させるような、大学定員の増員、学費の減額などの政策介入は、その政策介入の影響を受けた人については、大学進学を通じて賃金を上昇させることを示唆した。しかし、大学進学の効果は個人によって異質であるため、入学定員増員によって進学確率を上げるという政策介入の規模を拡大するに伴い、大学進学の効果が小さい個人へも政策の影響が及んでいくことにより、平均的な賃金上昇の効果が逓減していくことも明らかにした。 これらの成果は、研究会・ワークショップで報告するとともに、ディスカッションペーパーにまとめ公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関する研究成果を、研究会等で報告するとともに、論文にまとめディスカッションぺーパーとして公表することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗中の研究については、国内外の学会・セミナー等で積極的に発表を行い、そのフィードバックに基づいて論文を改訂することで、国際学術雑誌への投稿を目指す。また教育や教育政策が賃金の四分位点や不平等に与える効果とその経年的変化に関する研究も進める予定である。
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