2016 Fiscal Year Annual Research Report
Distribution of pentosidine in dentin collagen
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16H06959
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 真人 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70380277)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 象牙質 / コラーゲン / 糖化最終産物 / ペントシジン / 蛍光 / 質量分析 / 2型糖尿病 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの歯の象牙質中に存在する糖化最終産物の分布状態を免疫組織染色と、微小部分からコラーゲン分子を3N塩酸で抽出しWestern blotting で確認した。これまでの研究で糖化最終産物のうち、付加型AGEsであるカルボキシメチルリジン(CML)に関しては、抗CMLモノクローナル抗体が象牙前室から歯冠方向に減少する濃度勾配で結合することが検出できていた。その濃度は若年者、高齢者、2型糖尿病罹患患者と増加することが確認された。しかしながら、架橋型AGEsのペントシジンに関しては検出が困難であった。本研究で新たに抗原抗体反応の条件を検討することで免疫染色、Western blotting ともに検出ができた。その分布状態はCMLとほぼ一致していた。CMLは蛍光を発しないため、夾雑物が多い状態や微量な状態では検出できないが、架橋型ペントシジンは励起波長335nmで375nmの特異的な蛍光発光があり、この蛍光を指標とすることで夾雑物存在下での微量試料に中のペントシジン検出が可能である。微小領域の象牙質コラーゲンを6N塩酸で完全分解することで蛍光検出器を用いて高速液体クロマトグラフィーで分析した。C18逆相カラムでペントシジン標準試料と同一保持時間で溶出するピークがペントシジンであることをイオンスプレー型質量分析装置(ESI-Mass)で確認することができた。2型糖尿病モデルラットにおいても臼歯部での免疫組織染色によりペントシジンの分布状態が確認できた。また液体クロマトグラフィー法で血液中、尾腱中にもペントシジンが生成していることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトおよびラットの象牙質における糖化最終産物の産生状態、分布状態が確認および液体クロマトフィーによる分析条件を確立できた。さらに比較測定としてラットの血液、尾腱等、歯以外の組織中に含まれるペントシジンの検出条件も確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、象牙質中の糖化最終産物の詳細な分布状態の測定ならびにペントシジン以外の糖化最終産物の分布も一度に測定できる質量イメージング分析に適した試料調製法を開発する。ヒトでは倫理的にも実験的にも困難なライフステージに沿ったAGEsの変化を若年、高齢ラット、および2型糖尿罹患ラットを各週齢も比較することで解析する。
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