2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06965
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥野 健太郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50420451)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 嚥下反射 / 睡眠 / 誤嚥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、嚥下障害患者における睡眠中の嚥下データを採取するにあたり、その方法論の確立のため、まずは既に得られている健常者における睡眠中の嚥下動態に関するデータの分析・解析を行った。 若年健常成人7名を対象に、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG: Polysomnography)を行い、覚醒・睡眠状態を把握しながら一定量の水を咽頭に注入し嚥下運動を誘発する簡易嚥下誘発検査(SSPT: Simple Swallowing Provocation Test)を施行し、各睡眠段階における嚥下動態を評価した。注入から嚥下が生じるまでの時間である嚥下潜時の中央値(四分位範囲)は、覚醒時:5.0(4.5-5.4)秒、non-REM stage1: 5.1(4.7-5.9)秒、stage2: 10.1(8.9-14.7)秒、stage3: 44.2(25.6-108.1)秒、stageREM: 6.8(5.1-10.4)秒であり、睡眠時に有意な延長が認められ(p<0.01)、特に深い睡眠であるstgae3では著明な延長を認めた。嚥下性無呼吸時間は、各睡眠段階で有意な差は認めなかった。誤嚥のリスク因子と言われている嚥下後の吸気相、嚥下機能の低下を示す複数回嚥下、誤嚥の指標である嚥下後の咳については、覚醒時と比較して、睡眠中は出現頻度が高い傾向を認めた。健常者において、睡眠中は嚥下と呼吸の調整機構が変化し、覚醒時と比較して、嚥下機能が低下する可能性が示唆された。 以上から、健常者のデータ解析から、方法論の妥当性を検証することができた。今後予定している嚥下障害患者においても、嚥下潜時、嚥下性無呼吸時間、嚥下後の呼吸相、嚥下回数、嚥下後の咳の有無が、嚥下と呼吸の調節機構の指標となりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
嚥下障害患者のリクルートが難航しており、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
嚥下障害患者のリクルートを進め、睡眠中の睡眠中の嚥下データを採取する予定である。
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Research Products
(3 results)