2016 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病の重症化リスク因子と透析合併感染症起因菌の同定
Project/Area Number |
16H06989
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 助教 (60779437)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | 感染シャント / 口腔内細菌 / 16SrRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の慢性腎臓病患者は年々増加し,その死亡率の高さや透析による医療費の高騰が社会問題になっている.近年,慢性腎臓病患者の生命予後や合併症発症と口腔健康が関連することが報告され,口腔と腎の連関が注目されている.また,透析患者の致死的合併症である透析シャント感染の原因として,口腔内細菌の血行感染が疑われている.しかし,口腔と腎疾患の両者が免疫機能の影響を受けることから,口腔と腎の連関を証明した質の高い縦断研究はなく,シャント感染の起因菌も同定されていない.本研究では,摘出感染シャント,唾液,便,皮膚擦過検体中の細菌叢を16SrRNA解析およびメタゲノム解析により把握し,透析シャント感染起因菌の同定することを目的としている.平成28年度は,倫理員会の承認得て,7名の患者の唾液ならびに感染シャントの細菌からDNAを抽出した.さらに,4名の患者に関して,次世代シークエンサーを用いた16SrRNA解析を実施した.その結果,2名の患者に関しては,口腔内の細菌叢と感染シャントの細菌叢が類似しているという結果が得られた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,すでに患者の細菌からDNAを採取し,一部の患者に関して16SrRNA解析を実施し,感染シャントと口腔内細菌の関連性の一部を明らかにしており,計画どおり実験が進んだといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,平成28年度にDNAを採取したものの未解析である患者3名の解析を進める.また,16SrRNA解析では,属レベルまでの解析しかできないため,16SrRNA解析にて感染シャントに口腔内特異的な細菌が検出されたサンプルに関しては,どの種の細菌が口腔内から転移することでシャントの感染に寄与したのかを明らかにするため,細菌種を同定することが可能な特異的プライマーを設計し,PCR法を用いて解析を進める予定である.
|