2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reception of Aristotelian Physics in Arabic and Latin
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16H06997
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三村 太郎 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50782132)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | アラビア語写本 / イスラーム科学史 / アリストテレス自然学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成29年度は、前半でドゥーナシュ・イブン・タミーム『天球について』アラビア語テクストの校訂とのその英訳の全体を完成させた。その後、8月にロンドン・ウォーバーグ研究所に2週間ほど滞在し、チャールズ・バーネット教授とともに、そのアラビア語テクストと英訳を検討した。教授と共同読解を進めることで、より完成度の高いテクストと英訳を仕上げることができた。加えて、7月にブラジルで開催された国際科学史学会に参加し、本年度前半で完成させた『天球について』全テクストを踏まえて本作品の分析することで得られたドゥーナシュの宮廷科学者としての役割に関する研究成果を発表した。具体的には、『天球について』においてドゥーナシュは天体運動を含めた自然現象の発生過程をギリシャ哲学や天文学の知識を使って合理的に説明することで、この世の全自然現象が合理的にプログラムされていることを明示した。そうすることで、このような合理的で素晴らしい世界を創造できるのは、全知全能の唯一神しか不可能である、という議論を展開することで、神の一性を証明しようとしたことが分かった。いわば、一神教であるイスラーム擁護の一環として、ドゥーナシュは天文現象の合理的な説明を用いたといえる。さらに、本発表を通じてフロアーからコメントをもらうことで、ドゥーナシュの占星術への批判的な態度の背景がより鮮明になった。当時、宮廷が占星術の禁止を表明しており、その流れに乗って、ドゥーナシュも占星術に懐疑的な論調を本書で表明したことが分かってきた。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)